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知念里奈“器用貧乏”に悩んだ新人時代… 「腐らず」続け磨いた実力

【REACTION】vol.6 知念里奈

 1996年に歌手デビューし、翌97年に『日本レコード大賞』最優秀新人賞を受賞した歌手の知念里奈(38)。2003年に『ジキル&ハイド』で初舞台を踏むと、『ミス・サイゴン』、『レ・ミゼラブル』など、大作に続々と出演。いまやミュージカル界に欠かせない存在となっているが、20年以上重ねたキャリアの中では、常に挑戦の連続だったという。

これまでの歩みを振り返った知念里奈 (C)ORICON NewS inc.

これまでの歩みを振り返った知念里奈 (C)ORICON NewS inc.

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■沖縄の少女がいきなり芸能界へ。プレッシャーも少なくなかった

 「小さい頃、映画のオーディションが沖縄であって、その新聞の記事を見た学校の先生に『君、オーディションに行ってみたら?』と勧められたのが、きっかけなんです。それまでは引っ込み思案で、音楽番組もあまり見たことがありませんでした。いつも後ろにいるタイプで、前に出て何かを表現することは得意ではなかったんですけど…」。はやりの音楽も知らない、クラスでも快活に振る舞うタイプでなかった。知念も「何で先生は私を推薦したのか? …何ででしょうね?」と笑う。

 右も左も分からない状態で臨んだ初オーディションは、残念ながら不合格。それでも「すごく楽しかったんです。両親は大反対だったけど、自分もやりたい!」と直談判する形で、沖縄のダンススクールに通い始めた。歌やダンス、演技のレッスンに励み、15歳の若さで歌手デビューを果たす。レコ大最優秀新人賞など華々しいスタートを切ったが、初めての芸能界、慣れない東京での生活、ジェットコースターのような目まぐるしい日々に「まだ15歳。何も分かってなかったし、一人が寂しくて公衆電話で親に電話を掛けたりしてました」と不安も多かった。

 “大型新人”の触れ込みでデビューしたことで、大きなプレッシャーもあった。「いろんな肩書が自分の中で大きすぎたのかもしれないですね。だから事務所もいろんなことに挑戦させて、違う角度を見せてくれた。途中から『自分は器用貧乏なのかな?』って思うこともあったんです。全部がそこそこできるけど『自分はこれだ!』という突出したものが、なかなか見つからなくて…。それが20歳前くらい。そういう自分にモヤモヤしてましたね」。

 それでも「好きなことを仕事にしたい」という強い気持ちだけは絶やさなかった。「自分で曲を作ったり、歌詞を考えてるわけでもないし、大人たちの『これがいいんじゃない?』というのにどうやって応えていこうと、毎日が全力でした」。歌やダンス以外にも、さまざまなジャンルの楽曲、未経験だったギター演奏にもチャレンジしたという。

■ミュージカルと出会い、新たな挑戦が始まる そんな知念に転機が訪れる。初舞台となる『ジキル&ハイド』で、主演・鹿賀丈史の婚約者という大役に抜てきされた。すでに歌手としてパフォーマンス力には定評があったが「歌手のアドバンテージは、全く無かったです。むしろあの世界にはいらない肩書でした」ときっぱり話す。

 「今でこそ、歌手やアイドルの方が多く参加しているけど、当時はそんなに多くなかった。カーテンコールでお客さんを見ると『なんであなたが来てるの?』という反応に自分は見えてしまって…。初心者の私より、アンサンブルの皆さんのほうが、私の役をうまく歌える。ただ、いろんな流れの中で私が役をもらった。最初は申し訳無さもあって胃が痛くなる日々でした」

 新天地でも苦労の連読だったが、ポップスからソプラノへ歌声を変え、スクール時代に培った演技力にもさらに磨きをかけた。何度も壁にぶつかったが「自分の演技でお客さんの反応、評価が変わることが、自分の中では楽しかった。ここだったら自分の頑張りがイコールになるのかもと。もちろんネガティブな評価に落ち込むこともあったけど、ちょっとずつ反応が変わっていくことに希望がありましたね」。初舞台を終える頃には「『次もぜひ、やらせてください!』と。その後も作品をいただいて、今に至る感じです」と感慨深げに振り返った。

 舞台女優としてキャリアを築くなか、歌手活動も本格的に再始動していく。10月公開の『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』では、主題歌「Twinkle Stars」を担当した。「もうキャリアの半分以上がミュージカル。その中でオファーをいただけてうれしかったです」と笑顔を見せる。

■ポリシーを胸に飛躍を誓う

 歌手、そして女優としてステップを踏み、プライベートでも2016年にミュージカル俳優・井上芳雄(40)と再婚。いまでは2児の母として仕事と家庭を両立させている。「家に暗い気持ちを引きずらなくなりましたね」と心境の変化を明かしつつ「長男は、バレエをやっています。『演技に興味がある、やりたい』と言っていた時期もあったけど、私達とは違う場所で勝負をしたい気持ちがあるみたいです」と、我が子の成長に目を細めていた。

 「志が腐らないこと」。多くの挑戦と苦労を繰り返すなかで、ブレずに胸に秘めていた芸能生活の“ポリシー”だ。「若い頃は、挫けそうなことばかりだったけど、周りの支えに恵まれた。その時のベストを尽くすことが大事で、それを続けていけば絶対に良い出来事に巡り会える」。

 芸歴も20年を越え、これまで培ってきた才能が円熟しつつある。今後の展望を聞くと「ストレートプレイの演劇をしてみたい。お芝居をもっと追求すれば、新しい歌や表現に繋げられるんじゃないかな。まだ学ぶことばかりです」。まだまだ向上心は衰えていないようだ。

 今月20日から22日には、東京・キリスト品川教会グローリア・チャペルにて『知念里奈 Premium Concert Vol.1』を開催する。「とにかくミュージカルでは言葉が大事。10代の頃は、音で歌うイメージでしたが、いまは歌詞がどう聴こえるか、どこで息継ぎするかを意識するようになりましたね」。公演には、山崎育三郎May J.春野寿美礼松下優也濱田めぐみら豪華ボーカリストがゲスト出演。ミュージカルナンバーやヒットソングを中心にデュエット歌唱を披露する。

◆知念里奈(ちねん・りな)/1996年に歌手としてデビュー後、翌97年に『第39回日本レコード大賞』最優秀新人賞を受賞。その後、多くのドラマやミュージカルに出演し、2017年には歌手デビュー20周年CD「知念里奈 20th Anniversary 〜Singles & My Favorites〜」をリリース。11月20日から22日に『知念里奈 Premium Concert Vol.1』(東京・キリスト品川教会グローリア・チャペル)を開催する。

「REACTION」
人生は反応の連続。どういう局面で、どういう選択をするかによって、自らに返ってくる反応も変わってくる。さまざまな分野で活躍する人々の【REACTION】にスポットを当て、どういう道のりを経て現在にいたったのか、注目作が出来上がるまでの過程などを紹介していく。

関連写真

  • これまでの歩みを振り返った知念里奈 (C)ORICON NewS inc.
  • 11月20日からコンサートを開催する (C)ORICON NewS inc.
  • 「志が腐らないこと」。ポリシーも語ってくれた (C)ORICON NewS inc.

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