NHKで放送中の大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺（ばなし）〜』（毎週日曜　後8：00　総合ほか）で、第14回（4月7日放送）以降に登場するキャストが5日、発表された。中でも、日本人女性初のオリンピック選手となる人見絹枝役にダンサーの菅原小春を抜てき。大河ドラマ初出演どころか、演技も初挑戦。ただ、本作で描かれる人見絹枝が、菅原自身の半生と重なるといい、「思い切り体一つでぶつかっていきたい」と話していた。

【写真】その他の写真を見る

　人見絹枝は、岡山の女学校で始めたテニスで圧倒的な強さを誇り、金栗四三（中村勘九郎）たちと出会う。抜群の身体能力で陸上競技の世界記録を次々と塗り替えるも、女子離れした自身の容姿に強いコンプレックスを抱く。日本人女子で初めてアムステルダムオリンピックに出場し、800メートルで銀メダルを獲得。女子スポーツ界の先駆者として、生涯を走り抜けたスーパースターだ。

　菅原も日本人離れしたプロポーション、身体能力を誇り、18歳でダンス留学、みるみるうちに世界へと飛び出し、唯一無二の表現力で国内外に知られる存在に。三浦大知ら人気アーティストの振付を担当したり、EXILEとミュージックビデオで共演したり、2016年NHK紅白歌合戦では、坂本冬美と共演して話題になった。

　会見で菅原は「私ごとですが踊りを踊っておりまして、初めてお芝居をやらせていただいています。私ごとですが、日本では浮いてしまうような体型とか骨格とか筋力を持っています。私ごとですが、世界に飛び出した時に、日本にいたときは周りの女子と目線の高さが違う、女子離れした体型やパフォーマンスをしていると思っていたんですが、世界に出たら普通で、ちっぽけで。だったら思いっきりやってみようと思った。人見さんと通じるものがある」と語り、自分と境遇の似ている役に強いシンパシーを感じているよう。

　「役作りとか初めてでわからないのですが、ことばではなく体で、自分が胸に抱いている隠しきれない思いを、体でぶつけていけたらいいなと思いました」と、撮影に励んでいる。

　制作統括の訓覇圭氏は、菅原にオファーをして「人見さんのことわかります。大丈夫」と頼もしい返事をもらったことを明かし、「人見絹枝さんは、女子スポーツのパイオニア。そのスピリットを出せるよう菅原さんに頑張ってもらいたい。役者には役者の良さがそれぞれにあるけれど、初めてお芝居をしているからこその微妙な感じがドキドキワクワクします」と期待をかけていた。

　ストックホルムオリンピックが開催されたのは明治45年（1912年）の夏。その年、明治天皇が亡くなり、大正天皇が即位。第14回から時代は大正に入り、女性の社会進出が顕在化していく。主人公・金栗四三は、オリンピック再挑戦を目指しつつ、後進の育成に新たな夢を抱き、箱根駅伝の創設や女子体育の普及にまい進する。一方、相変わらずの放蕩暮らしを続ける美濃部孝蔵（森山未來）だったが、妻・おりんに支えられ、落語への思いを深めていく。そんな中、大正12年（1923年）9月1日、未曾有の大地震が東京を襲う。何十万人もの途方に暮れる被災者たち。四三や嘉納治五郎（役所広司）は今こそスポーツの力が必要だと立ち上がる。

　今回、発表されたのは、菅原のほかに、東京女子高等師範学校助教授・二階堂トクヨ役の寺島しのぶ、四三の教え子・村田富江役の黒島結菜、富江の父・村田大作役の板尾創路、孝蔵の妻・清水りん役の夏帆（大河ドラマ初出演）、三島家の女中・シマ（杉咲花）の夫・増野役の柄本佑、関東大震災の災害対応にあたる東京市長・永田秀次郎役のイッセー尾形の7人。