復帰を語る (下)立命館大大学院一貫制博士課程・平安名萌恵さん(27)

 日本復帰50年を暮らしや文化の視点を通して見つめるインタビューの「下」は、沖縄市に夫婦で「くすぬち平和文化館」を創設した眞榮城玄徳さん(80)、服飾ブランドYOKANG(ヨーカン)デザイナーの山内カンナさん(48)、家族とジェンダーについて研究する立命館大大学院一貫制博士課程の平安名萌恵さん(27)に思いを聞いた。(聞き手=学芸部・嘉数よしの)

 沖縄のシングルマザーの生活史を聞き取っています。離別や非婚でひとり親になった20~80代の女性約50人に耳を傾けてきましたが、復帰当時も今も、変わらない課題があると実感しています。

 一つは就労。安定した職を得られず、転職を繰り返す人が少なくありません。60代以上の方からは、米軍基地内で家政婦などとして働いていた経験や県外に出稼ぎしていた話を聞きます。若い世代でも、季節労働やサービス業で非正規で勤めている人は多い。沖縄の脆弱(ぜいじゃく)な産業構造による厳しさがシングルマザーに顕著に現れています。

 親族からのサポートを得られず、共同体の中にいながら...