あって当たり前と思われていた学校給食が提供できなくなった沖縄県の粟国、渡名喜両村の小中学校。栄養士は全国的に人手不足で、病院や老人ホームなど民間の求人がある中、離島赴任を希望する人が少ないことが背景にある。保護者は忙しい朝の弁当作りの手間、子どもは級友と同じ食事が取れないさみしさを嘆いた。

 粟国小中学校の金丸利康校長は3月30日の来島後、給食が提供できないと知った。始業式のあった7日は、午後に児童らと教員で8日の入学式の準備をする予定だったが給食がないために児童を下校させ、教員だけで会場づくりを行った。

 「学びは保障しないといけない」と金丸校長。学校から最も遠い児童らの家は片道20分かかるため、30分の給食時間を70分に延長することで午後の授業も行いたい考えだ。「保護者への連絡が遅れたことは申し訳なく思う。食の安全が最優先されるため、協力をお願いしたい」と話した。

 7日に開いた説明会には保護者の半数に当たる18人が出席。3月に栄養士の離任が分かっていたのに、なぜ連絡が遅れたのか-といった苦情も出た。説明会の後、ある母親は「共働きなので子どもに朝ご飯をあげながら弁当も作るのは大変。小さな島で、子どもが好きな冷凍食品の種類も少ない」と話す。女子児童は「みんなと一緒に同じものを食べたいので、少しさみしい。給食はあった方がいい」と残念そうだった。

 渡名喜村教育委員会は6日の説明会で「負担を強いることになると思うが協力して乗り越えたい」と呼びかけた。同村教委の担当者は「県はハローワークや栄養士会にも呼びかけているが見つかっていないようだ。一日も早く再開できるよう栄養職員の配置をお願いしたい」と話した。