今後30年以内に与那国島周辺でマグニチュード(M)7級の地震が起こる確率が「90%以上」であることが25日、政府の地震調査委員会から公表された。影響が懸念される与那国町の防災担当者は「びっくり。津波が心配だ」と驚きを隠さず、住民は「率直に怖い。小さな島で避難場所は限られる」と不安を募らせる。(八重山支局・粟国祥輔)

 「初耳だ」。町の上地常夫総務課長は政府調査委の公表について驚きの声を上げた。町が主催する年1回の防災訓練はいつ起こるか分からない災害への備えで、公表された「M7級」「30年以内の発生」を想定していない。「今後は訓練の精度を上げていかないといけない」と話した。

 町では災害時に避難先となるはずの庁舎が建設から53年がたち、老朽化している。建て替えについて町議会で議論しているが、進んでいない。「公表内容や予想されることを説明して防災への機運を上げていく必要がある」と話した。

 島の住民も困惑する。近い将来、高い確率で大地震が発生するとの予想に、自営業の女性(42)は「率直に怖い」とぽつり。万一の際は、幼い子ども2人と年老いた両親を伴っての避難になるとし、「今後は避難訓練に必ず参加するようにしたい」と力を込めた。

 別の会社員の男性(50)は「行政に100%頼るわけにはいかない。難しい問題だが住民各自で日頃から備えを意識することが大事だ」と強調した。

 一方、石垣市防災危機管理室の大濵武室長は「大地震はいつ起きてもおかしくない」と冷静にみる。「明和の大津波」を教訓に訓練や備えを重ねており、「あとは住民がいかに意識を持って避難するかだ」と指摘した。