[再建の現在地 首里城火災2年](中)
▶首里城の「見せる復元」が苦戦 ツアーの人数がゼロの日も から続く
火災で被害を受けたのは建物に限らない。沖縄の歴史や文化を物語る美術工芸品も多大な損失を被った。
被害状況などをまとめた「首里城美術工芸品等管理委員会」によると、火災により染織、書跡などの美術工芸品約390点が焼失。残った約360点も修復が必要な状態になっている。
沖縄美ら島財団は、修復作業を担う職人を選定。本年度から作業が始まった。
だが、道のりは険しい。どの美術工芸品の修復も時間がかかり、資料が十分ではない作品もある。これに加えて、修復を担える職人はごくわずかだ。
約280点の修復が必要な漆器。火災で長時間の熱にさらされ、その後急速に冷えたため、木が収縮して亀裂が入ったりしている。
修復を任されている土井菜々子さん(48)は、15年ほど東京で修業し、約10年前から沖縄で漆器の修復を続けている。国内では漆器の修復職人は10人もいないといい、貴重な人材だ。
小麦粉と漆を混ぜた天然の接着材を亀裂に流し込み、固まるまで1週間ほど待つ。熱で浮き上がった螺鈿(らでん)細工の貝や漆塗膜(うるしとまく)を竹ひごで抑えるなど地道な作業を繰り返す。本年度は4点の修復を並行で進めるが、1年近くかかる予定だ。
土井さんによると、