国の文化審議会は16日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に琉球舞踊立方の宮城幸子さん(87)=那覇市=と志田房子さん(84)=本名フサ子、東京都練馬区=ら4人を認定するよう萩生田光一文部科学大臣に答申した。琉球舞踊の分野では初めて。政府は秋にも答申どおり告示し、人間国宝は計114人となる。

 県内の芸能分野では9、10人目。工芸分野を合わせると累計で15人が認定されることになる。琉球舞踊は2009年に国の重要無形文化財に指定されたが、個人を認定する人間国宝(各個認定)はまだなく、今回初めて立方で女性2人が選ばれた。

 宮城さん、志田さんともに伝統的な琉球舞踊立方の演技技法を高度に体現する舞踊家として、芸能界の発展や後進の指導、育成に尽力している点が評価された。

 答申の知らせを受けて宮城さんは「私だけでなく師匠(故・真境名佳子さん)とともにいただいた。生きている限り琉球舞踊を次の世代に伝えたい」と述べた。志田さんは「感謝以外に何の言葉もございません。若い人たちのためにも、やっと門が開けました」と喜んだ。

 人間国宝には人形浄瑠璃文楽の人形遣い桐竹勘十郎さん(68)=本名宮永豊実、大阪市=と茶の湯釜の角谷勇圭さん(78)=本名勇治、大阪府東大阪市=の認定も答申された。

琉球舞踊とは

 「琉球舞踊」は各地で伝承された民俗的舞踊、琉球王府で完成された古典舞踊、明治・大正時代に創作された雑踊に分類される。戦後、隆盛を迎え、現在では沖縄伝統芸能の中核をなし、国内外へと広がりを見せている。

 本土復帰の年の1972年、「沖縄伝統舞踊」として県指定無形文化財となった。2009年には、日本を代表する芸能の一つとして国の重要無形文化財(総合認定)に指定され39人が保持者に。17年には27人が追加認定を受けた。

 琉球舞踊は実演家が踊るだけでなく、結婚披露宴などでは今でも幕開けに「かぎやで風」が舞われ、庶民芸能としても定着。県民の最も身近な重要無形文化財といえる。

宮城幸子さんプロフィル

 みやぎ・ゆきこ 1933年名護市(旧羽地村)生まれ。真境名佳子氏に師事。真踊流相談役・真踊流佳幸の会会主。国の重要無形文化財「琉球舞踊」保持者。

志田房子さんプロフィル

 しだ・ふさこ 1937年那覇市生まれ、東京都在住。重踊流初世宗家。3歳で玉城盛重氏に師事。国の重要無形文化財「琉球舞踊」保持者。