窓一つない大型貨物船の船底で、殺されるのか、生かされるのか。裸電球だけの暗がりに、一人一人が身を寄せるようにしてやっと横になれるだけの狭さ。行き先も、昼夜の別も分からない。海に身を投げる人まで出た。18歳の渡口彦信さん(93)には、何か考える気力さえ残っていなかった。