那覇空港や同空港着の飛行機の拾得物(忘れ物)が2018年は1年間で4万4679点に上り、県警会計課にデータが残る過去7年間で、最も多かったことが13日までに分かった。同課は観光客の増加が要因とみている。夏場の観光シーズンに入り、対策強化に本腰を入れる。(社会部・比嘉太一)

 空港を管轄する豊見城署によると、署で扱う全拾得物のうち約9割が那覇空港警備派出所に届けられた忘れ物。文庫本やイヤホン、洋服、土産物が多く、署で3カ月間保管された後、処分したり、リサイクルショップに売ったりするという。

 5月の大型連休明け、署の保管庫の棚は航空会社の袋などに入った忘れ物がずらりと並び、足の踏み場もないほどだった。同課の担当者は「持ち主はほとんど現れない。保管庫は月1回整頓しているが職員の数も限られており大変」と説明する。

 夏場は忘れ物が増加する傾向にあり、署はサングラスや帽子など夏に増える忘れ物に備えて新たな保管場所も検討している。空港内では故意に「忘れた」とみられるスーツケースなどの拾得物も目立ち、担当者は「捨てられたのかどうか判断できない」と困惑する。

 国内で最も利用者が多い羽田空港国内線ターミナルでは年平均6万2千点の拾得物が寄せられる。管理している日本空港ビルディングは警備員や職員の巡回を強化して忘れ物をしないよう呼び掛けているという。同ビルディングの担当者は「忘れ物を減らす取り組みは空港運営の課題の一つ」とした上で、「日々、少なくするよう工夫している」と強調。2020年の東京オリンピック開催を控えている中で、忘れ物対策強化も検討しているとした。

 一方、県内では観光客増に伴い、今後も忘れ物が増えることが見込まれるとして県警が今年4月から「拾得物対策担当課長補佐」を新たに配置した。各署に持ち込まれる前の忘れ物を電子データで管理し、忘れ物が多く発生する空港や大型商業施設などで直接持ち主に返す方法を模索している。県警会計課は「今後も忘れ物対策を強化していきたい」と話した。