[新春トップインタビュー 2024]

 -2023年を振り返って。   

 昨年の夏は、長期化するガソリン価格などの高騰に、記録的な猛暑が加わって、全国的に野菜価格が跳ね上がり、カット野菜、冷凍野菜、カップサラダなどを製造販売する弊社は多大な影響を受けました。特にUターンした台風で荒天が長引き、物流が止まり、スーパーなどの店頭の野菜が品薄になった際には、カット野菜の注文が通常の3倍を超え、チャンプルーセットや千切りのカットキャベツなどの売れ筋商品にしぼり、数量制限することで対応しました。今回の経験を通じて、台風の影響を受ける夏場の沖縄での野菜の安定供給に関して、今まで以上に課題を感じ、対策の必要性を痛感しました。

 -若手社員の活躍が光っています。

 平均年齢が32歳と若く、多くの社員が仕事にやりがいを感じ、会社に愛情を持ってくれています。弊社では若手社員を積極的に採用担当や広報に起用し、20代で管理職に抜擢(ばってき)することもあり、若い社員にどんどん仕事を任せて育てる社風と環境があります。そんな若手社員の活躍が伝わり、県内での就職したいランキング順位は28位に上がり、毎年の新卒採用では3~5名の枠に10倍以上の応募があります。県内県外を問わず新卒の応募が増えていることを非常にうれしく感じています。

 -2024年の取り組みは。   

 夏場の野菜の安定生産と沖縄の自給率向上を目指し、6月に南城市内の約570坪の敷地に水耕栽培施設が完成する予定です。台風にも耐える構造のハウスで、水温を20度に保ち、室温はセンサーでチェックし、屋根や壁面を開閉して外気を取り込み、温度調節を行うシステムで、将来的には世界基準の農業認証であるGGAPを取得したいと考えています。夏場は露地栽培が難しいリーフレタスやサニーレタス、冬場は需要が高まるバジルなどの栽培を予定していますが、最大の特徴は太陽光を活用する点で、LED栽培に比べ、葉が肉厚で力強く、パリッとした食感のレタスに育ちます。

 また、露地栽培と異なり、雑菌が少ないため消費期限が長くなることや、虫などの混入が格段に少ないことも大きなメリットです。運用開始後は、県内の量販店、ホテル、外食産業チェーンなど既存の販路への出荷をはじめ、弊社のサラダ用の原材料にも使う予定で、従来は県外から仕入れていた分の輸送に伴うカーボンニュートラルにもつながります。

 さらにこの水耕栽培システムは、収穫時に腰をかがめる必要がないことから、シルバー人材の活用や農福連携の推進にも貢献できるものと期待しています。そのうえ高齢化による離農などで増え続けている耕作放棄地を有効活用すれば、地域の課題解決にも役立ちます。いずれは沖縄本島のみならず宮古島や石垣島でも展開していきたいと考えています。

 -新年を迎えての抱負を。    

 これからも社員一丸となり、手軽に食べられる野菜の商品で、県民の健康と胃袋を支えてまいります。

 おおしろ・ひろし 1980年生まれ。那覇市出身。山梨学院大卒。2005年県外のカット野菜工場で研さんを重ね、2006年11月に父や兄らとともに創業。19年7月から現職。

人柄に迫るパーソナルクエスチョン

(1)継続している習慣やルーティン(2)時間の制約が無ければ挑戦してみたいこと(3)学生時代に熱中していたことは

答え

(1)起床時のマインドフルネスと就寝前のストレッチ(2)大型バイク免許取得、ホノルルマラソン挑戦(3)小学4年生から高校3年生までバスケットボール

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