気合を入れ、力強く拳を突き出す。沖縄市の拳龍同志会泡瀬道場で、形の稽古に励む越来小学校5年の辺土名拳吾さん(10)。1年半前、小脳梗塞で一時生死の境をさまよった。医者からは半身不随になるかもしれないと言われていたが、「また運動ができるようになりたい」とリハビリを重ね、1年後には空手を再開できるまでに回復。6日には全国大会の出場権を懸けて、県少年少女空手道選手権大会に出場する。

 運動が好きで、幼稚園時から空手を習っていた拳吾さん。異変を感じるようになったのは、小3の秋だ。時折目まいを起こすようになり、検査に行こうとしていた2021年12月、意識がもうろうとして病院に運ばれた。椎骨動脈解離による小脳梗塞で即日手術し、2日後には頭蓋骨の一部を外す手術も受けた。

 年が明けて目を覚ますと、話すことも起き上がることもできない。母の千賀子さん(42)ら家族のサポートを受けて徐々に良くなったが、以前のようにはスポーツも勉強もできない自分にいら立つこともあった。...