弾道ミサイル発射を想定した住民避難訓練で対応に当たる総務課の職員。国民保護を担当するのはこのうち1人だけだ=2022年11月30日、与那国町役場
市町村は住民を守れる? 「消防だけでも大変」台湾から111キロの与那国町、担当1人だけ
[意外と知らない「有事」の話](18)
台湾から111キロの与那国町。仮に台湾有事が起きれば最前線の自治体だ。にもかかわらず住民の生命、財産を守る国民保護計画の準備は間に合っていない。
「階段を1段上ったところだよ」
町課長補佐の男性は苦笑交じりに話す。明らかにマンパワー不足が原因だ。国民保護業務を担うのはこの課長補佐1人だけ。防災分野も兼務し「消防だけでも大変」と嘆息する。
町職員は全員で76人。定員より約10人少なく、どの課も「ぎりぎり」で回している。
2017年の「町国民保護計画」の作成を経て、現在は避難方法や手段を定める実施要領「パターン編」を作っている。月内に公表予定だが、手応えはないという。海上封鎖や悪天候で船が往来できないなど、「考えるほどパターンはある。階段に終わりがない」。...
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