[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -昨年を振り返って。      

 昨年の事業環境としては、2019年のコロナ前の水準までに回復しました。特に、台湾航路が好調に推移しました。国際コンテナ航路がコロナで混乱している中、当社の定時運航が評価されたものと考えています。

 一方で、原油価格の高騰や円安、為替相場の変動などで、燃料費は前年度比70%強も上がっています。お客さまに燃油サーチャージの負担もお願いしながら政府の補助金なども活用し運営していますが、補助金は全てお客さまに還元する形でサーチャージから割り引くように充てています。売上高はサーチャージが膨らんだ分上がりますが、経常利益はなんとか計画が達成できるかという厳しい見通しです。

 -資源高にどう対応しますか。  

 物流センターでは、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯にするため、電気代のコスト増加が課題です。船の燃料に関しては、減速運航、船底やプロペラの手入れによる摩擦や負荷軽減などで、抑制効果が出ています。こうした取り組みを引き続き進めていくことが大事だと考えています。中城の物流施設では、沖縄電力などと連携し、太陽光発電による省エネ、再エネ利用促進の取り組みも進めています。今後、他の施設でもやっていきたいと考えています。

 -新たな物流拠点も開業予定です。

 豊見城に、7カ所目の物流施設を開業します。約1万5千坪(約5万平方メートル)の敷地に、2階建ての施設で、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯を完備しています。すでにイオン琉球の利用が決まっており、6月には事業開始の予定です。お客さまの物流機能の強化に、ロジスティックパートナーとして取り組んでまいります。那覇港や那覇空港、市街地にも近いので、物流拠点としての機能が高まると非常に期待しています。

 -人材育成や女性活躍の取り組みについてお聞かせください。     

 先輩が新入社員を支えるチューター制度を導入しています。社外講師を招いた研修、社外の研究機関への派遣などもあります。人事を固定化せず、多岐にわたる業務を学べるようにしています。女性の活躍については、船員に女性が1人いるほか、関連会社ではガントリークレーンの運転手に2人、大型トラックの運転手も女性が5人います。また、12人の女性の契約社員を県外異動のない地域限定社員に登用しました。男性船員も4人が累計223日、1人当たり約55日の育休を取得しました。ジュニアボードの女性部会など今後も取り組みを進めます。

 -今年の抱負をお聞かせください。

 第5次中期経営計画の最終年度で、目標の経営指標は達成可能とみています。選ばれる総合物流企業として、挑戦しつづける姿勢が大事です。継続的、安定的に利益を確保しつつ、戦略的に取り組みます。コロナ禍の影響がまだ続くという前提で、「船を止めない」との使命感で取り組みます。燃料高騰など課題もありますが、積極的にお客さまのニーズをくみ取れるように営業を進めていきたいと思います。 みやぎ・しげる 1952年、名護市(旧・羽地村)出身。75年に琉球海運入社。2008年に常務、12年に専務就任、16年6月から現職。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)松下幸之助著「私の行き方考え方」(2)学生時代に友人たちと十和田湖で見た紅葉(3)空港に着くと感じる開放感、空気感