[新春 TOP INTERVIEW 2023]

 -2022年を振り返って。   

 カット野菜、カップサラダ、冷凍野菜などを製造販売する当社にとって、ウクライナ侵攻に起因する資源・エネルギー価格の急騰や為替の影響が大きい年でした。さまざまな大型機械を使用する工場の光熱費が大幅にアップし、原材料となる野菜も、種子や肥料、農業資材の値上がりの影響を受け、サラダ用カップなどのパッケージ資材、工場で使うエプロンやアルコールなどの衛生用品もほとんど価格が上がり、商品の規格変更や価格調整を検討せざるを得ない状況となりました。

 その一方でうれしい出来事も多く、まずは8月31日の野菜の日に沖縄県産冷凍ゴーヤースライスを、10月20日には沖縄県産冷凍カットヘチマを新発売しました。このヘチマは加熱後に変色しない味枕という品種を使用しており、冷凍のまま加熱調理できるという手軽さから、冷凍ゴーヤースライスとともにご好評いただいています。

 また、県産野菜を原材料とする当社の冷凍スープが有名通販雑誌で紹介されて人気を博し、県外から多くの注文を受け、増産と発送に追われました。

 さらに、当社のグループ会社である沖縄ファームとともに、念願の循環型農業が本格始動しました。当社の工場から出る野菜の端材を発酵させて堆肥を作り、沖縄ファームの圃場(ほじょう)で活用するという仕組みで、世界水準の農業認証グローバルギャップを取得している沖縄ファームの玉レタスはすべて、すでに循環型農業で生産しています。

 -23年の取り組みは。

 使用する玉レタスを通年でグローバルギャップ認定に切り替えます。沖縄ファームのロメインレタス、サニーレタス、リーフレタス、キャベツの畑もグローバルギャップ取得の予定です。

 年内にはCО2排出を軽減できる太陽光発電の導入に着手し、自家発電して当社工場で利用していく予定です。

 また、台風シーズンの県外からの青果物の遅れや欠品に備え、物流対策と在庫管理を徹底し、お客さまへのさらなるサービス向上に取り組みます。

 -人材教育については。

 新卒とリーダーの育成に重点を置き、当社の存在意義や創業精神を学ぶ理念教育の浸透を軸としつつ、利益を生むマネジメント教育にも注力します。そして、必要な人に、必要な時に、必要なデータを情報共有できるように環境や体制を整え、それを基に社員一人一人が自ら考えて動き、計画を立て、目標を達成する喜びを実感できるシステムを構築します。全社員が自ら経営する意識のもと、社員の働きがいと生きがいを高め、お客さまに喜ばれるサービスを提供していきたいと考えます。

 -新年を迎えての抱負を。

 今後も野菜の栄養成分を手軽にとれる製品づくりを心がけ、沖縄の野菜や食文化にこだわった冷凍商品や加工食品、ビーガン対応食品の開発に力を注ぎ、沖縄の農業の活性化に努めながら、当社のロゴマークに込めた生産者と消費者を結ぶ虹のような存在を目指し、社員一同、尽力してまいります。

おおしろ・ひろし 1980年生まれ。那覇市出身。山梨学院大卒。2005年県外のカット野菜工場で研さんを重ね、06年11月に父、兄と創業。19年7月から現職。

Personal Question

(1)新入社員に薦めたい本や映画(2)思い出に残る旅(3)沖縄の持つ魅力・好きなところ

Answer

(1)稲盛和夫「生き方」で、人生において大切なものを学んでもらいたい(2)ラスベガスで見たセリーヌ・ディオンのショーに感動(3)ウチナーンチュならではの肝心(チムグクル)