[反ヘイト]

 ヘイトスピーチに対応する「県差別のない人権尊重社会づくり条例」の骨子案が28日、判明した。外国ルーツの人々に対するヘイトスピーチが公共の場所であった場合、沖縄県が発言者の氏名などを公表する。県民に対するヘイトスピーチは解消に取り組むとした。ヘイトスピーチの禁止規定や、違反した場合の罰則は現時点で盛り込まれていない。

【解説】罰則なく実効性限界 県条例骨子案 「県民」定義曖昧 人権の保護不十分

 ヘイトスピーチは、属性を理由に差別を扇動するなどの言動。玉城デニー知事は9月の知事選で、「実効性あるヘイトスピーチ条例の制定」を公約していた。

 県は今後、県民の意見を1カ月かけて公募。来年の県議会2月定例会に条例案を提出し、年度内の制定を目指す。

 外国ルーツの「本邦外出身者」などを標的にしたヘイトスピーチがインターネット上で起きた場合は「拡散防止措置」を取り、概要を公表する。プロバイダーに対する書き込みの削除要請などを指すとみられる。

 県民に対するヘイトスピーチへの対処は、これに比べて一段弱くなる。県が「解消に向けた取り組みを行う」とするが、骨子案に具体策は示されていない。

 ヘイトスピーチに当たるかどうかの判断は、第三者機関として審議会を設置して審査してもらう。国や市町村と連携して人権相談の体制を整える。

 ヘイトスピーチとは別に、性的指向と性自認の多様性に関する理解を広げていくことも盛り込んだ。本人の意思に反する性的指向や性自認の公表(アウティング)と、差別的取り扱いを防止するとした。

(編集委員・阿部岳