フランク・ロイド・ライトの建築
~Falling Water~

Falling Water(落水荘)

▲落水荘外観

設計までの経緯

 アメリカのペンシルベニア州にあるアパラチア山系西端の中央に、ベアランと呼ばれる短く狭い川がある。 その川にある滝の上に建てられているのが『Falling Water』である。フランク・ロイド・ライトは自然と調和した暮らしを提唱していたが、 これに共鳴した百貨店経営者であるエドガー・J・カウフマンが依頼して実現した住宅で土地は緑豊かな峡谷のある斜面にある。 周囲は自生するシャクナゲや老木が覆う。滝の上流は山から湧き出る小川があり、ライトはこの環境にインスピレーションを得て、落水荘の設計を思いついたようである。
 リビングにある階段から直接、水辺に降りることができるようになっており、「滝を眺めて過ごしたい」というカウフマンの要望を取り入れつつ、滝を住宅の下に設置することで、 見るものではなく音や雰囲気で感じるものにしたのである。大きな窓と天井を低くすることで、室内にいる人間が大きな窓から視線を外へ向けやすいように設計している。

落水荘の特徴的な構成

 ライトはテラスを設計する際、鉄筋コンクリート製の「トレー」を住宅の背後に設置している石積みの壁と自然の岩に据え付けることで、滝の上に迫り出すように設計した。 こうすることで、川の上に住宅が浮いているように見せた。また、人造の岩棚が自然に露出した岩棚に伸びているように見せることで、下方にある小川の岩の構成と調和して一体となり、 ごつごつした砂岩やコンクリート、ガラスが建物外の組織を形成することで自然との調和を表現している。

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