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おしゃれな街ニューヨークで
「もしも…」を使ったプロポーズ!
You've Got Mail「ユー・ガット・メール(1998)」
(c)1998 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
絶妙なセリフ回しが参考になる
大人のラブストーリー
愛する恋人からのプロポーズを夢見て、自分にとっての理想を追求する女性は多いはずですよね。
「ユー・ガット・メール」は、まさに刺激的なシチュエーションと、絶妙なセリフで出来上がった大人のラブストーリーです。
舞台は、どこを切り取ってもおしゃれな、90年代のニューヨーク。
派手な演出はないけれど、最悪の出会いから始まった男女のちょっぴりファンタジックな恋模様と、思いもよらないプロポーズがとってもロマンチック!
ぜひ、大人の男女にこそ参考にしていただきたい映画なんです!
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恋人と暮らすキャスリーン(メグ・ライアン)は、ニューヨークの街角で母から受け継いだ小さな児童書専門店を営んでいます。
まだ携帯電話も普及していない時代。彼女には気が合う恋人フランクはいるものの、密かにネットで知り合った男性とメール交換をする時間を楽しみにしていました。
パソコンを立ち上げ、“ユー・ガット・メール”のお知らせに心躍らせる日々。
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そんな頃、近所にフォックス社が営む大型書店がオープンし、キャスリーンの店は経営危機に。
たまたま顔見知りとなったフォックス社の経営者ジョー(トム・ハンクス)とは、会うたびにお互いを罵る関係になっていきます。
キャスリーンは、そんなふうに人を言葉で攻撃した後は決まって後悔し、メールで弱音を吐きます。
本音を言い合える関係に、顔も名前も知らない相手にキャスリーンはますます心惹かれていきますが、この相手が皮肉にもジョー・フォックス本人だったのです!
そんな上手い話あるかよ!と言うツッコミは無し。
何と言っても舞台はニューヨーク(2回目)ですからね!
そんな奇跡も起こっちゃうし、本屋さんの経営者同士の恋愛なんて、あのアーティスティックで洗練された場所にピッタリですよね!
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あるきっかけで、ジョーはメールの相手がキャスリーンだと先に知るのですが、自分の正体を打ち明けられないまま時は進んでいきます。
そして、経営危機だったキャスリーンの営む書店はとうとう閉店することに…。
この頃、キャスリーンとジョーは共に、恋人と別れる決断をします。
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キャスリーンと恋人フランクはお互いに愛情がなくなっていることを打ち明け、ジョーは本当に大切な存在は何かを考え直し、恋人と暮らしていた部屋を出て行きます。
秘密を明かすまでの
“調整”に心ドキドキ
さて、ここからジョーの鮮やかな正体暴露計画が進行するわけですが、まず彼は、体調を崩しているキャスリーンの家を訪ね、彼女の好きなデイジーの花束をプレゼントすることから始めます。
でも、キャスリーンはジョーに対してケンカ腰。いつものように悪態をつこうとしたら、ジョーがキャスリーンの唇をそっと抑えて遮ります。
「後悔することを言わないですむように、協力しよう」
トム・ハンクスは超二枚目キャラではないけれど、このシーンには観ているこちらもドキドキ!キスシーンでもないのに!
これで、メールの相手しか知らないようなことをジョーが言ってみるもんだから、キャスリーンは「もしかして…?」とさらにドキドキ!動揺している彼女がとっても可愛い!
そして、ジョーのアドバイスを受け、再びメールの相手に会う決心をしたキャスリーン。
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メールを送ると「会おう。でもその前に、いろいろ調整する」とジョーが返信し、言葉通りその”調整”が始まります。
偶然を装い、ジョーはキャスリーンの心に近づいていきます。二人は、表面上は架空の男性について話してるのですが、実際はお互いの理想や、好み、お互いのこれからについて話しています。
それがジョーの計画的な“調整”なんだとしたら、キャスリーンもこちらも完全にはめられちゃっているわけですが、それも心地いい!
そんな彼の計画にわざと気付かないふりをするのも、プロポーズの醍醐味だったりするのかもしれませんね。
多くを語らず…。でも、しっかりと心を突き動かすプロポーズ
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いよいよ二度目の待ち合わせ場所をメールで指示したジョーは、その何時間前にキャスリーンと会う約束を取り付けます。
「これから会うのかい?いよいよだね」なんて演技しているが、内心はドキドキなはず。
そして彼女の家の前まで送り届けると、こう切り出す…。
「もし…」
人は“もしも”が大好き。もしあの時出会ってなかったら。もしあの時、電話番号を聞いていたら。もし、仕事のライバルではなかったら…。
PHOTO:AFLO
「もし、僕らがビジネスライバルでなかったら、電話番号を聞いて、24時間も待てずに連絡していた」と話すジョーはいつになく真剣。
キャスリーンもそれに気付き、顔つきが変わり始めます。
「“お茶や食事を一緒にどう?映画でも見に行かない?一生、ぼくと一緒に”ってね」
この短い“もしも”がジョーのプロポーズ。
そして、もしもその通りになっていたら、二人は土曜の夜にビデオを仲良く選んで一緒に過ごしただろう、と幸せな未来をキャスリーンに想像させ、彼女の心を乱すのです。
それでも何とかジョーを振り切り、ワンピースに着替え、キャスリーンは約束の場所に向かいます。
リバー・サイドパークの花畑、愛犬と共に現れたジョーを見てキャスリーンは、
「あなたで良かった」
「ずっとそう願ってた」と息を漏らす。
なんて、ロマンチック…。
そして絶妙なタイミングで流れるハリー・ニルソンの「オーバー・ザ・レインボー」。
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キューンと胸がなり、こちらもジョーの虜になっているのが分かります。華麗なるこのラストサプライズまでは、さすが!の一言。完璧な演出です!
ジョーのプロポーズは全然派手じゃなく、決定的な言葉も少ない。でもそこがいいんですよね。
私たち女はいつも、いつの間にか側にいて自分を見透かしてくれる男性を待っている。
恋人が恥ずかしがらずに、“もしも”の話を切り出すのを待っているのです。