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水割り浴びせられ…野口五郎15歳、福岡で耐え抜いた屈辱

福岡スタア倶楽部―2006(平成18)年1月9日 西日本新聞掲載―

 歌手野口五郎さんのデビュー曲が、演歌のご当地ソング「博多みれん」だったという事実は、案外知られていない。「私鉄沿線」などのヒット曲を連発した時代の印象があまりに強いからだろうか。野口さんにとって、ご当地ソングは、どんな存在だったのだろう。東京都内の事務所で野口さんと会った。

 「僕は『博多みれん』にまつわる苦労を知ってもらおうとか、隠そうとも思ってません」。野口さんは淡々と語り始めた。

 バシャッ。

 いきなり、コップの水割りをぶっかけられた。

 顔の赤い酔客が、野口さんを見て薄ら笑いを浮かべた。「十八やそこらのガキが…、何が『恋を拾って また捨てて…』だ」

 一九七一年五月、博多どんたくでにぎわう福岡市・天神。当時、市内で最大といわれた「キャバレー・ミナミ」で野口さんは歌っていた。「博多みれん」のレコードを携えて。

 昼は、市内のどんたく広場の舞台を回り、市民に交じって舞台に立った。

 十五歳を十八歳と偽っていた。あどけなさが残る顔が、妙に大人びた声で演歌を歌い出す。大人たちは、ちらっと見るだけで、何の反応もみせなかった。...

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