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「息子絡み首相は判断鈍った」広報官、続投一転辞職

 菅義偉首相の長男正剛氏が絡んだ総務省幹部接待問題は1日、体調不良を理由に山田真貴子内閣広報官が辞職する展開となった。先週末の時点では続投させる意向だった首相だが、世論の反発は収まらず傷口を広げた末の「最悪のトラブル処理」(自民党関係者)に。身内をかばおうとしたのか、その「らしくない危機管理」に与党からも嘆きの声が上がった。

「後手とは思っておりません」

 夕方、官邸エントランスでぶら下がり取材に応じた首相は「国会審議の極めて重要な時期にこうした事態に至り、ご迷惑を掛けますことを大変申し訳なく思います」と神妙に述べ、山田氏辞職の混乱を陳謝した。後手に回った対応への受け止めを問われたが、「私はそのようには思っておりません」とかわした。

 午前中の衆院予算委員会の集中審議は、出席予定だった山田氏が急きょ辞職したことにより、30分遅れでスタート。野党側はこぞって首相の判断に批判を浴びせた。

 立憲民主党の枝野幸男代表が「総理が先週の段階で『辞めてください』とお願いすべきだった。遅きに失した」と主張したのに対し、首相は、山田氏が2月28日に体調不良で病院を受診し、そのまま入院したことから「(辞職は)やむを得ないと判断した」と答弁。正剛氏ら放送事業会社側から、和牛ステーキと海鮮料理で約7万4千円分の会食接待を受けていた事実が明らかになった後も、山田氏をいったんは続投させたことを正当化してみせた。

記者会見開かず「山田氏隠し」

 実際はどうだったのか。

 2月24日。総務省は接待問題で省幹部ら11人を処分したものの、最も重くて「減給」だった。そこで、特別職の国家公務員である山田氏も給与の一部返納でペナルティーの程度をそろえることに。政権幹部は「山田氏を辞めさせるのは(総務省との間で)バランスを欠く」との建前で乗り切る腹づもりだった。

 ところが、世論は静まらず。さらに26日。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を6府県で先行解除することを決めた首相が記者会見を開かず、ぶら下がり取材にとどめたことが「会見の司会役の山田氏を隠そうとした」と指摘された。情勢が一気に悪化した。

自民からも「初期消火しくじった」

 首相は、残る首都圏の緊急事態宣言の期限である3月7日を機に、会見するとしている。山田氏が残っていた場合、問題が再燃するのは避けられないとの焦りが官邸を覆った。結果として、山田氏は自ら身を処した。政府高官は「本人が、これ以上の集中砲火に耐えられない状態だった」と推し量った。

 官房長官時代、不祥事やスキャンダルの芽を先回りして摘み、ダメージを最小限に抑える危機管理を得意とした首相。今回の対応は、どうにも分が悪い。自民党関係者は「自分の息子が絡んでいるので、判断が鈍ったんだろう」。自民の閣僚経験者は苦々しげだ。「初期消火にしくじり、火勢を大きくしてしまった」

 (一ノ宮史成、前田倫之)

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