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総延長431キロの「壁」と生きる 巨大津波に備え

 総延長431・6キロ-。巨大地震の津波から、東日本の太平洋沿岸部を守るために造られている防潮堤の長さだ。そびえるコンクリートの守りの壁は高さ15メートルに及ぶ所もある。「仕方がない」「景観を損ねる」。今春の完成を前にした今も、賛否が聞こえる。

 東日本大震災の後、国は過去の津波や地形を分析して対策をまとめた。エリアごとに予測される津波について数十年から百数十年に一度の規模(L1)と、数百年から千年に一度の規模(L2)に区分。頻度の高いL1に備えた壁の建設を進めた。L2への警戒も怠らない。

地形によっては緩やかな階段状に築かれている
   =9日、宮城県気仙沼市(撮影・帖地洸平)

 岩手、宮城、福島、茨城、千葉、青森の6県計621カ所で進む事業の支出総額は1兆円を大きく上回るとみられる。昨年9月末で75%が仕上がった。

 岩手県大船渡市の自宅を流された鈴木善四郎さん(75)は「海が見えなくなるのは寂しい。防潮堤で防ぎきれるとは思えないが、ここで生活するためには受け入れるしかない」と、自らに言い聞かせる。古里の風景が変わることへの反発で、当初、国が描いたすべてが実現するわけではない。

 海とともに生きるには、どうすれば-。震災から10年が迫る被災地で、議論が続く。

 (帖地洸平)

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