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長男の高官接待、接触アプリ…首相新たな火種 

 通常国会は4日、2021年度予算案を審議する衆院予算委員会が始まった。新型コロナウイルスの感染者数が減少局面に入り、自信を取り戻しつつある首相。だが、放送事業会社勤務の首相の長男らによる高官接待疑惑が新たに浮上した。ワクチン接種や緊急事態宣言解除のタイミングを間違えれば、政権への風圧が強まるのは必至で、首相は正念場を迎えている。

 「ワクチンはまさに感染対策の決め手。一日も早くとの思いで懸命の努力を重ね、2月中旬に接種をスタートしたい」。4日の衆院予算委。首相は自民党の下村博文政調会長の質問に答える形で、力強く決意を示した。

 「総理が自信を取り戻してきた」-。今月に入り官邸内でそんな声が出ている。新規感染者数が下降傾向となり、周辺は「対策の成果が、元気を取り戻す一番の薬になっている」と明かす。批判を受けていた発信方法も改善した。記者会見や国会答弁では目線を定めて丁寧に低姿勢で説明するようになった。

 首相はワクチン接種を着実に進め、宣言解除に踏み切り、政権を再浮揚させるシナリオを描く。

 だがこの日は、新たな“火種”の矢面に立たされた。

 「国民に厳しいことを言いながら、親族や総務省をかばっている。総務省幹部はなぜ首相の長男と会食をしたのか」。立憲民主党の黒岩宇洋(たかひろ)氏は、首相の長男らが総務省幹部を接待したとする週刊誌報道の疑惑をぶつけた。

 首相は「私と長男とは、完全に別人格だ。長男にもプライバシーがある」と気色ばんで反論。「総務省の審査会で対応してもらいたい」と繰り返した。

 さらに、追い打ちとなったのは、厚生労働省がコロナ対策の“目玉”として導入した接触確認アプリ「COCOA(ココア)」の不具合だ。4カ月放置された問題をなじられ「お粗末なこと」(首相)と返すのがやっとだった。

 厚労省はワクチン供給に関する情報共有システムの開発を担うが、政府高官は「ちゃんとできるか心配」。ワクチン接種が始まってもどのくらいの人に打てるかは見通せず、収束への出口が描けなければ、首相はさらに厳しい立場に追い込まれる。自民中堅も「期待が大きいだけに失敗すれば、倍返し」と気をもむ。

 ある閣僚経験者はつぶやく。「やっぱり現状は崖っぷち。ワクチン、スキャンダル…。一つの落ち度ですぐ足をすくわれる」 (一ノ宮史成)

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