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「2か月一歩も外に出ず」葉加瀬太郎さんが語る作曲秘話

 バイオリニストの葉加瀬太郎さん(52)の新しいアルバム「FRONTIERS(フロンティアーズ)」が9月に発売されました。新型コロナウイルスの自粛期間中に作った新曲です。このアルバムをひっさげてのツアーも始まり、九州では11、12月に開催され、ツアー全体の最後は福岡市で。葉加瀬さんに、新アルバムやツアーへの思いをリモートで尋ねました。

 -今年はもともと、大規模なツアーを予定していたそうですね。

 ★葉加瀬 今年はちょうどデビュー30周年ということで、4~6月に全国でのコンサートを予定していました。福岡にも来るはずだったんです。オーケストラと一緒に演奏するコンサート。その準備のために、東京にいるときはリハーサルもして、衣装も出来上がっていました。さあいざ、という時に新型コロナウイルスで自粛になって。まず初日が延期になり、その後も中止になりました。また、緊急事態宣言が解除された後の7、8月の公演もできず、今に至ります。30年の活動の中で、こんなにできないのは初めてでした。

 -それで、ステイホームの期間中に曲を作ったと。

 ★葉加瀬 コンサートができないなら、家のスタジオにこもって作曲をしようと思いました。オーケストラとの共演は昨年から計画していたんですが、次のライブツアーは全く違う形でやろう、と考えたんです。ジャズのテイストを入れるなど、全く対照的にしよう、という企画です。

 -それがアルバム「FRONTIERS」につながったんですね。

 ★葉加瀬 2カ月間くらいは、家から一歩も外に出ずに作曲しました。ここまで集中したのは久しぶりです。それまであまり時間がとれなかったけれど、手直しできる時間もありました。アルバムが完成して、全ての企画を見直し、秋のツアーを組み直して、このアルバムそのままの形で全国を回ることにしました。大人っぽい音楽で、豪華なバンドで演奏します。

 -作曲するときはバイオリンで?

 ★葉加瀬 鍵盤とコンピューターですね。デビューの頃からコンピューターを使っていますから。今回は、作曲段階からギタリストの方を巻き込んで、毎回家に呼んで作り込みました。

 -緊急事態宣言の期間中、多くの音楽家がリモート演奏しましたが…。

 ★葉加瀬 曲作りに専念しようと決めたので、他に何もしませんでした。リモート演奏のお誘いもたくさんありましたが、全部断りましたね。

 -ツアーで訪れる九州の印象はどうですか。

 ★葉加瀬 九州は自然が豊かで食べ物がおいしい。釣りが趣味で、飲みに行くのも好きなので、九州へのツアーはちょっと浮足立っています。いつも年3回は行っていますね。僕は、年間100回近く全国を回っているので、東京を空けることが多いんですよ。

 -そこまでツアーに懸けているのは。

 ★葉加瀬 自分の音楽を自分で届ける、という使命感ですね。旅そのものの楽しさもありますが。音楽で大切なのは、僕たちが演奏する空気とかエネルギーを、お客さんに劇場で楽しんでいただきたい、ということ。コロナでツアーも中断しましたが、それがどれだけ大切なことだったか、改めて分かりました。自分で体を張って続けることが必要ですね。

 -ちなみに、この次のツアーはどういう企画を?

 ★葉加瀬 まずは年末までのツアーを最後まで乗り切る、ということです。来年は、本来やろうとしていたオーケストラとの共演を計画しています。

 (文・根井輝雄)

 ▼はかせ・たろう 1968年1月23日、大阪府生まれ。90年、バンド「KRYZLER&KOMPANY」のバイオリニストとしてデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演などで世界的存在となる。96年にソロ活動を開始。日本や世界でツアーを続けている。今年の九州でのツアーは▽11月21日午後4時、鹿児島市・川商ホール▽同23日午後4時、長崎市・長崎ブリックホール▽12月23日午後6時半、大分市・iichikoグランシアタ▽同25日午後6時半、熊本市・熊本城ホール▽同26日午後4時、福岡市・福岡サンパレス。

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