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阿部寛「あの人は今」に取り上げられていた デビュー30年の苦労

 俳優の阿部寛さんが2010年から足かけ8年にわたり主演してきた新参者シリーズが公開中の映画「祈りの幕が下りる時」(東野圭吾原作)で完結します。一見クールながらも人間味ある温かい役柄が人気で、ファンの間では「さみしい」との声が続出しています。

 -ついにシリーズ完結です。

 ★阿部 最初に加賀恭一郎役を演じることになったときは、刑事役はまだ無理かなって思っていた。色が付いてしまうと思って避けてきたんです。それまでエキセントリックな役がすごく多かったので、こういう真っすぐな人間は難しかった。

 -刑事にはどんなイメージが?

 ★阿部 小学5年のとき近所で事件が起きて、55歳前後の5人の刑事さんが聞き込みに来たんです。その時僕一人しかいなくて、1人の刑事に物腰柔らかく「ご両親はいる?」って聞かれて。あとの4人は全然しゃべらずまばたきもしない感じですごく怖かった。それを思い出して、「刑事ってのは力は抜けてるけどどこか怖い」というのを出したいと思って演じてきました。

 -加賀はどういう刑事?

 ★阿部 すごく優しくて丁寧な男。だけど裏ではしっかり頭の中で捜査していつの間にか犯人にたどり着く、ちょっと透明人間に近いところがあります。

 -テレビの「新参者」シリーズの時からたい焼きに並んだり人形焼きを食べたりするシーンが印象的です。甘い物は好きですか?

 ★阿部 けっこうよく食べますよ(笑)。人形焼きも好きだし、アイスクリームも好きです。加賀という完璧に見える人間にもそういう部分があるのは面白いと思って、地でやってる部分もあります。原作には無いんですけどね。

 -これまで加賀は自分の内面を見せませんでしたが、今回の事件は加賀の母親が失踪した過去ともつながります。

 ★阿部 今作では、今まで8年間なぜ加賀が日本橋にこだわって所轄へ在籍しているんだという謎を、ある事件と並行しながら解いていく展開になっています。

 -この事件で容疑者として浮上した演出家を演じる松嶋菜々子さんと相対する場面が印象的でした。初共演だそうですね。

 ★阿部 ものすごく力の抜けた、素晴らしい女優さんだなって思いました。松嶋さんはすごくハードな役だったんですけどスポンジのような吸収力で役に入ってお芝居してて、目に変な計算とかうそも無いからすごくやりやすかったです。

 -ところで、福沢克雄監督はすごく身長が高いそうですが阿部さんも高いですよね。

 ★阿部 父親は157センチくらいしかなくて兄も姉も普通。僕だけ背が高い(笑)。

 -それで最初はモデルとして活躍され、俳優デビューから30年が過ぎました。

 ★阿部 いや~、聞いただけで長い。きのうのことのようですからね、感覚的に。ちょっと信じられない。

 -その間苦労もあって、「あの人は今」で取り上げられたことがあるとか…。

 ★阿部 びっくりしました。この世界に入って3年たたないうちですよ。写真貸さなかったですけどね、たぶん。でもそれで目が覚めた。イメージを気にしてやってる場合じゃないなって。それ以降は先輩の現場に行って、自分が良いなって思う人をずっと眺めてヒントを探してた。そんな時期があると悔しいってエネルギーが湧いてくるんです。それが支えになってくれる。

 -新参者シリーズは終わりますが、これからどんな役を?

 ★阿部 いつの間にか加賀恭一郎が自分の軸になっていることがうれしくて、終わってしまうのはさみしい気もします。この先、役柄も年齢とともに狭まってくると思うのでいただける役は何でもやるしかないですよ。そこから何か発見しなければいけないかなって思ってます。

 ▼あべ・ひろし 1964年6月22日生まれ、神奈川県横浜市出身。大学在学中にモデル活動を開始、87年に映画「はいからさんが通る」で俳優デビュー。テレビドラマ「結婚できない男」や映画「テルマエ・ロマエ」シリーズなど多数に出演し、幅広い役柄をこなす。24日に「空海-KU-KAI-美しき王妃の謎」の公開も控える。

=2018/02/04付 西日本新聞朝刊=

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