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不思議な生態、ミノムシは「ガ」の一種だった 今では絶滅危惧種のオオミノガ

 ミノムシは日本に40種類ほどいるミノガと呼ばれるガの一種、オオミノガの幼虫に付けられた名前なのです。昔、農家の人たちが雨の日にシュロの皮やワラを編んで作った雨衣を着て作業をしていましたが、それに似ているということで付けられた名前のようです。

 ミノムシという虫がいることは誰でも知っていますが、どんな昆虫であるかを知っている人は少ないのではないでしょうか。ガの幼虫だということが分かれば、成虫は夜に飛び回るガであることが想像されます。まさに普通のガの姿をしています。

 ただし、それはオスだけで、メスは成虫になっても同じ昆虫とはとても思えない姿をしています。脚も羽も触角もなければ、目も口もないウジ虫状態で、一生を通してミノの外に出ることがありません。夕方になると、ミノの下から頭を少しだけ出して、そこからフェロモンといわれる匂いを放出してオスを誘います。

 そのころ飛び回っているオスは、その匂いを嗅ぎ取ると、何百メートルも離れたところからでも飛んで来てメスと交尾をするのです。交尾が終わったメスはその場で卵を何百個も産み、しばらくすると地上に落ちて死んでしまいます。

 オオミノガはこのように不思議な昆虫ですが、今から30年ほど前に突然いなくなってしまったか、と思われるほどに姿が見られなくなってしまいました。大陸の方から入って来た天敵のハエの一種に寄生されたのが原因といわれています。

 葉が落ちた街路樹のサクラやケヤキの枝にぶら下がり、その様子は冬の風物詩ともいえる情景だったのですが、今では絶滅危惧種になってしまい、残念なことに、気をつけて探しても時々見つかるくらいになってしまいました。


=2017/12/19付 西日本新聞朝刊=

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