まるで天女のような虫・アオバハゴロモ 体を覆う綿毛の役割は分からず
植物の若い枝に薄緑色の平べったい小さい虫が並んでとまっているのをときどき見ることがあります。多いときには10匹以上が並んでいて、その様子をよく見ようとして顔を近づけたりすると、虫たちは驚いて枝の裏側に隠れます。それよりも驚くと、ピョンと飛び跳ねて逃げてしまいます。
愛らしい姿で色もきれいなので、昔は田舎の子どもたちがよく遊び相手にしてハトという愛称で呼んでいる地方もあるそうです。
ハゴロモという名前は、この昆虫の幼虫の姿がそれに似ていることから付けられた名前だといわれています。
成虫もそうですが、幼虫も、普通は木の枝にじっと止まって、その汁を吸っています。そのとき幼虫は腹部の先の方から白いロウでできた糸状のものをたくさん出して、それを傘のように開いて、その下に体を隠して自分の姿が分からないようにしています。
そして、何かにひどく驚くと、ピョンと飛び跳ね、その傘をパラシュートのようにしてゆっくり落下して行きます。
その姿がまさに羽衣をまとった天女のように見えるということなのかもしれません。
この幼虫の体を覆う綿毛のような物質は非常にもろく、ちょっと触っただけでも崩れて取れてしまいます。なにかに触れてこすれて取れてしまったのか、ほとんど取れてしまった幼虫を見ることがありますが、しばらくすると、また徐々に生えてきて元通りの姿に変わります。
この体から出される白い毛の役割は、餌を探している鳥の目から逃れるため、あるいは墜落したときにけがをしないため、と考えられているようですが、まだその理由はよく分かっていないとのことです。
=2017/11/21付 西日本新聞朝刊=