ジャニーズ性加害問題「深く憂慮」 国連人権理事会
各国の人権を巡る状況を調査する国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家は4日、東京都内の日本記者クラブで記者会見した。ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長(2019年死去)による性加害を告発した当事者らへの調査を通じ「タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれる深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と指摘した。
7月下旬に来日した作業部会は、同事務所幹部のほか、元タレントで構成する「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の関係者にヒアリングするなど、日本の人権課題を巡る調査を進めてきた。
この日の会見に出席した作業部会メンバーのピチャモン・イェオファントン氏は、被害者の救済に向けて日本政府が主体となって「透明な捜査を確保し、実効的救済を確保する必要性がある」と提言した。
イェオファントン氏はビジネスと人権を研究する政治学者で、会見には作業部会の議長で環境法や持続可能な開発が専門のダミロラ・オラウィ氏も同席した。
同事務所が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」による調査は「透明性と正当性に疑念が残る」とした。
作業部会は声明文で、日本のエンターテインメント業界に「性的な暴力やハラスメントを不問に付す文化」があると言及。コンプライアンス(法令順守)体制を整備するために「透明な苦情処理メカニズムを確保することが必要」と求めた。作業部会は24年6月に国連人権理に報告書を提出する見通し。
ジャニーズ性加害問題当事者の会も同日、会見を開いた。副代表の石丸志門さんは被害者救済について「きめ細やかな政策をもって救済にあたる、これは国家プロジェクトとしてあたらないといけない」と訴えた。