報ステ新キャスターに元NHK大越氏「平たい言葉で」
2021年10月からテレビ朝日系の報道番組「報道ステーション」(月~金、夜9時54分)の月~木曜のメインキャスターに大越健介氏が就任する。NHK「ニュースウオッチ9」のメインキャスターをつとめたことで知られる大越氏は、6月末にNHKを定年退職したばかり。民放に舞台を移し、再びテレビ報道の最前線に戻る。「報道ステーションは私の中ではニュース報道番組のトップランナー。切り口や視点、攻めの姿勢に刺激を受け、ライバルであり、超えたい存在だった。(番組の中の)最終伝達者として、責任を持って仕事をしたい」と抱負を語る。
大越氏は東京大学在学中に野球部のエースとして六大学リーグで活躍。「ニュースウオッチ9」の後には「サンデースポーツ2020」のキャスターを務めたこともある。この1年ほどNHKで大型番組の取材に携わっていたが、「もう一度、日々のニュース報道をやってみたい」と思い続けていたと明かす。テレ朝からの依頼に「大きな影響力のある番組。たじろぐような気持ちもあった」というが「この機会を逃すことはあり得ないと思いトライした」と決断を振り返る。
「キャスターは自分の知見を披露したり、主義主張を振りかざすものではない」のが持論だ。チームで取材したニュースを「視聴者に届ける接点であり、水先案内人だと思っている」。そのうえで「平たい言葉で伝えることを大事にしたい」と訴える。社会の複雑な動きも、取材を重ね思考を深めることで「はっきりくっきり像が見えてくる」といい、結果として平易な言葉で伝えられるという。
取材姿勢は「権力者も市井の人々も1人の人間としてリスペクトし、フラットな視点で相手と向き合う」こと。現場取材にも意欲をみせ「地球温暖化など地球が直面している大きな問題に対し、よりよい方向に進むような知恵、工夫があるような現場に行ってみたい」と期待を膨らませる。
4月から「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)の月~木曜の放送開始時間が夜10時に繰り上がるなど、この時間帯の視聴率競争は激しさを増す。「8月で60歳になったが、気力、体力とも充実しており、10月から登板することを楽しみにしている。よりよい番組を作っていきたい」と意欲を見せる。
(関原のり子)
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