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狙われたルノー・日産 中国習政権と吉利の野心

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中国が「自動車強国」に突き進んでいる。電気自動車(EV)や自動運転を競う新時代で、欧米に対抗する勢力となる野心が透けて見える。日産自動車と仏ルノーが資本関係の見直しを進めるさなか、浙江吉利控股集団が日仏連合の急所を握るシナリオもあったことがNIKKEI Mobilityの取材で明らかになった。

HORSEの経営権

パリのシャンゼリゼ通りにほど近いセーヌ川沿いのクラブ「BRIDGE」。11月8日は人だかりが夜ではなく、朝にできた。ルノーの事業戦略説明会にアナリストやジャーナリストが集まったからだ。

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スポットライトを浴びるルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は胸を張った。

「ルノーと吉利の力を合わせることで内燃機関技術に未来をもたらす。これを発表できることは非常にハッピーだ。吉利の李書福董事長に感謝したい」

この日、ルノーが発表したのは、自社の事業再編計画だった。その柱の1つとして、エンジンや変速機、ハイブリッド車(HV)システムの事業を切り出し、吉利と折半出資の合弁会社を設立する計画を打ち出した。

この合弁プロジェクトのコードネームは「HORSE」。欧州を代表する名門メーカーが、これまでの主力事業で中国メーカーと手を携える決断だった。

華やかなパリの発表会の余韻が残る翌日。交渉の舞台裏を知る関係者に聞くと、意外な話を口にした。

「交渉次第では、吉利が過半をとる可能性もあったんです」

実は、EVに経営資源を集中したいルノーはHORSEには40%の出資にとどめるとともに、吉利にも40%出資を打診。残りの20%は石油会社などに出資を求める構想だった。しかし、ほかの出資者との交渉がまとまらず、吉利が60%を持つアイデアが一時浮上した。吉利が経営権を握ることもあり得たのだ。

EVの時代が到来しているとはいえ、ガソリン車やHVは自動車メーカーにとって現在の「キャッシュカウ」だ。その心臓部であるエンジンなどの事業を吉利に委ねるなら、ルノーにとっては大きな賭けになる。

だが、待ったがかかった。この人物は続ける。

「日産側がルノーに主導権を手放さないよう要求したようです」

ルノー・日産連合は、対等な関係へと出資比率の見直しに向けた交渉のまっただ中にある。日産にはこれまでルノーと共有してきた関連技術が中国側に流れるのではという心配があった。

海外M&A特権

吉利とルノーが提携すれば、ガソリン車に使う部品の共有化など規模拡大によるコスト低減のメリットを日産も享受できる。ただ、ある日産幹部は日仏連合の急所に迫る吉利の動きに警戒を隠さなかった。

「吉利は中国政府との距離も近く、資本力がある。将来的に日産と競合になる可能性もあるのではないか」

実際、中国のM&A関係者の間ではこんなことがまことしやかにささやかれる。

「海外M&Aの案件が出れば吉利に声がかかる」(外資系金融機関幹部)「吉利は特例として海外買収や出資などの認可を得られる存在であり続けた」(国有企業幹部)――。それは「吉利は特別扱いを受けているのではないか」という印象を周囲がもっているということだ。

吉利はこれまでスウェーデンのボルボ・カーや英国のロータスなど有力な海外ブランドを傘下に入れてきた。独メルセデス・ベンツグループや英アストンマーティンにも部分的に出資してきたが、中国当局は17年から中国企業に海外での買収に制限をかけている。

それなのに、なぜM&A戦略を打ち続けられるのか。答えのヒントは、李氏と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が良好な関係にあるのではないかという見方だ。

李氏と習氏の蜜月

吉利はもともと李氏が1986年に冷蔵庫部品のメーカーとして創業した。二輪車などを経て、97年に四輪車事業へ進出した。一方、習氏は吉利の本拠地がある浙江省トップの共産党委員会書記などを務め、両氏は一時、「毎月のように会うようになった」(同省元幹部)という。

習氏の出世にあわせて李氏も中国を代表する企業家として公的な役割を担うようになる。2018年からは日本の国会議員にあたる全国人民代表大会の代表を務めている。

習氏は10月の共産党大会で異例の3期目入りを決めた。中国経済の足腰を強くしようとしても、半導体などハイテク産業には米国の包囲網が築かれてしまった。EV時代への転換期を迎えた自動車産業に狙いを定めており、吉利は21世紀の自動車強国への先兵のように見える。

欧州に打ち込んだくさび

ルノーとの提携は自動運転など先端分野ではなく、あくまでエンジン車に限ってのこと。吉利にとっては、ともすれば「落ち穂拾い」と見られかねないが、李氏は意に介さない。「世界中の自動車メーカーに優れた技術を提供するハイブリッド技術の世界的リーダーになれる」と強調する。

LMCオートモーティブによると、吉利の乗用車販売台数は21年で214万台にすぎず、世界13位にとどまる。ところが、ルノーとの提携で、その影響力は一気に増す。ルノーはもちろん、その提携先である日産、さらにはメルセデスにもエンジンなどを供給するような存在になるためだ。

ルノーと吉利の発表によると、両社の合弁会社がエンジンなどのパワートレーンを供給する数は初年度から年間500万台分を超える。多くのライバルが内燃機関への投資を縮小するなか、吉利が受け皿となり残存者利益を狙う。

中国勢がリードするEVに加え、劣勢だった内燃機関でも優位に立てれば、中国の地位は盤石になる――。それこそ、習政権が描く自動車強国への青写真なのだろう。

ルノーのエンジン工場はフランス国内に多く立地し、その雇用はフランス政府にとって無視できない。吉利とルノーの提携により、ドイツと違い、中国に強硬な態度をとりがちなフランスにくさびを打ち込み、欧米とのパワーゲームで新たなカードを手にしたといえる。

日本にも上陸

その波は日本も押し寄せる。吉利のEVバン「E51」の日本上陸のカウントダウンが始まっているからだ。左ハンドルのE51が横浜に到着する。

環境関連技術スタートアップのスリーダムアライアンス(東京・港)が輸入し、最初の1台を検証。日本向けの仕様を固めたうえで、大量導入し事業者向けEVリースで使う。担当者は吉利のEVについて「EVはデータ商売。すでにEVを多く走らせている吉利のノウハウや影響力は魅力だ」と語る。

EVの世界で、吉利グループはすでに侮れない存在だ。22年1~6月の世界EV販売ランキングは7位まで浮上してきた。ボルボ・カーや高級EVブランド「ポールスター」、メルセデスとの合弁の「スマート」のほか、中国発高級ブランドの「ZEEKR(ジーカー)」など幅広いブランドを展開している。

それでも日本車メーカーからすれば、吉利は「まだまだ発展途上の存在」に見えるかもしれない。しかし、吉利の視線はさらに遠く、その動きはダイナミックだ。

中国のスペースX

6月、四川省の西昌衛星発射センター。9基の人工衛星が成功裏に打ち上げられた。打ち上げたのは民間企業の浙江時空道宇科技。いわば米テスラのイーロン・マスク氏が経営するスペースXの中国版だ。

衛星の名は「吉利未来出行星座(GeeSAT-1)」、もちろん浙江時空道宇は吉利のグループ会社だ。25年までに72基、その後も含め計240基を打ち上げる。衛星吉利傘下の商用車メーカー、浙江吉利遠程新能源商用車集団が衛星と商用車を連携させた物流システムを運用。衛星から得られるセンチメートル単位の高精度な位置情報を、23年から地上の港湾で車両の自律走行などに使う。

中国の宇宙産業は人民解放軍と表裏一体とされ、人工衛星の製造の多くは軍系企業が担ってきた。吉利はほかにも原子力発電所の運営会社に出資するなど民間参入が難しい分野への進出も目立つ。その野心は、21世紀のモビリティー革命の主役でもあるマスク氏よりも大きいのかもしれない。

吉利は25年の販売目標を365万台と、21年実績比で7割増やす目標を立てる。習政権と一体になって仕込んできた種が育っていけば、その数字以上に吉利と中国の影響力は世界に浸透する。

(上海=若杉朋子、北京=多部田俊輔)

この記事はNIKKEI Mobilityで11月24日に公開した会員限定のコンテンツです。今後も皆様に役立つ情報を発信していきます。NIKKEI MobilityのサイトのURLはこちらです(https://www.nikkei.com/prime/mobility本日25日は日本電産永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)のインタビュー(上)をNIKKEI Mobilityの会員限定記事として公開しています。
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