酪農家、採算悪化で22年度7%減 飼料高で赤字経営増加
国内の酪農家が一段と減少した。2022年度末時点で前の年度比7%減の1万962戸と過去最少を更新し、調査を始めた08年度以降で最大の減少率だった。飼料高などで多くの農家の採算が悪化したためだ。農林水産省は離農に歯止めをかけるため、生産コストを一定分生乳価格に反映する仕組みの検討を始めた。
生乳の安定供給などを目的に生産者団体などで構成する中央酪農会議(東京・千代田)が、沖縄県を除いた各地域の生産者団体を通じて酪農家の戸数をまとめた。
08年度末時点で2万748戸あった酪農家は、経営者の高齢化や採算の悪化などを背景に毎年4%前後の減少傾向が続いていた。
中央酪農会議によると、23年3月時点で酪農家の84.7%が過去1カ月に赤字経営だった。前回調査(22年6月)に比べ20ポイント近く上昇した。このうち43.6%が、100万円以上の赤字になっていると回答した。22年度はロシアのウクライナ侵攻で飼料やエネルギーの価格が急上昇した。
生産コストが急激に膨らむ一方、生乳価格への転嫁は進んでいない。買い手の乳業メーカーとの交渉は原則年1回で、機動的な転嫁が困難なためだ。乳製品の値上げが不可欠になるため、乳業メーカーも大幅な値上げには難色を示している。