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第4回防衛力強化の有識者会議 出席者の発言全文

22年11月21日開催分

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政府は24日、防衛力強化の内容や財源を巡る方針を決めた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の全4回分の議事録を公表した。2022年11月21日に開いた第4回会合での出席者の発言全文は下記の通り。

佐々江賢一郎・座長 これまでの会議の議論に基づき取りまとめた報告書案について説明した。報告書案についての有識者の皆様から意見や感想をいただきたい。

山口寿一・読売新聞グループ本社社長 報告書の内容に異存はない。若干付け加えると、この報告書は議論の入り口を提供したものにすぎない。

国民的な合意を築き上げていくのは大変だ。国の行方に係る重要な論点がいくつもあり、日本を取り巻く環境は安全保障と経済情勢いずれも厳しい。国会や地方自治体、産業界、大学、世論の理解を得られるよう政府が一丸となって取り組んでもらいたい。

メディアにも防衛力強化の必要性について正確かつ深い理解が広がるようにする責任があると自覚した次第だ。

船橋洋一・国際文化会館グローバル・カウンシルチェアマン 議論をフェアに取り扱ってもらった。防衛力抜本的強化の場合には防衛費を増やすことは避けられない。いまの国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合に財務相を加えて5大臣会合にするのがよいのではないか。法改正で担保することを提案したい。

このたびの有識者会議は内容、規模、財源を一体として防衛費と防衛力を考える枠組み設定になっている。これはとても重要だ。防衛費の増強が長期的に求められる時代に入るなか、財務当局と防衛当局がそれぞれの専門性と視点、利害、関心を深いところで理解しあう。防衛の内容、規模、財源を一体のものとして意思統一をすることがますます重要になる。

政府中枢には常時の意思決定過程を組み込んでおくのが望ましい。防衛問題はむやみに政治化したり、ナショナリズムにあおられたりする危険もある。内容、規模、財源の一体化に関する有識者会議は、最初で最後になってほしい。これからは国家安全保障会議の5大臣会合でしっかりと扱ってもらいたい。

橋本和仁・科学技術振興機構理事長 これまでの議論をまとめ、反映したものになった。研究開発に関し、報告書の決定後に進む制度設計や対外説明などは表現などを含めて慎重に対応してもらいたい。私自身もアカデミアコミュニティーに所属する一人として関与させてもらいたい。

中西寛・京大教授 全体としてよくまとまっているが、1点述べる。報告書案には非政府開発援助(ODA)の無償資金協力による特定安全保障国際支援事業が入っている。新しい試みとして非常に望ましいが、厳しい財政事情の中でODAとの兼ね合いをどうするかについて十分配慮してもらいたい。

ODAは長期的に日本の国益を国際社会と調和的に実現していくためのものだ。どのような観点で国益を実現していくかという点で役割の違いがある。小さなレベルでの取り合いにならないように配慮してほしい。

このたびの有識者会議の教訓として、会議の時間などが限られて皆様の知見が十分に交流するところまでいかず、全体として非効率になっているのではないかということが多々ある。

有識者会議の情報は非常に公開度が高い形でされている。だが安保3文書の取りまとめについては意思決定に誰がどういう形で関わっているのかについて必ずしも国民に見えない。

世論の支持を得る点で十分なものであるかどうかについては疑念の余地もある。将来的な日本の安全保障・防衛政策の検討や意思決定のあり方について教訓として検討をお願いしたい。

黒江哲郎・三井住友海上火災保険顧問 この報告書が確実に実現されることをぜひお願いしたい。長年の懸案だった国の安全保障のために総合力を発揮するという枠組みを速やかに実施するためには、内閣官房のリーダーシップが極めて重要だ。今後の内閣官房の働きに期待したい。

自衛隊の強化が待ったなしの課題だ。外交や経済など他の政策では自衛隊の強化は代替できない。まさに防衛力の抜本的強化の中心課題としてお願いしたい。これは同盟国も、脅威対象国も冷徹に見ている。

誤ったメッセージが発せられないように年末に向けた安保3文書の改定あるいは予算編成のプロセスを通じ、脅威を抑止するための防衛力をぜひ構築してほしい。

国部毅・三井住友フィナンシャルグループ会長 これまでの議論を的確に整理いただき、賛同する。その上で国力としての防衛力を高めていくにあたり3点をお願いする。

まずは環境変化への機敏な対応だ。この報告書案や2022年内に取りまとめられる安保3文書に基づき、防衛力を強化していくことになる。だがそのまま実行していれば国家の安全が必ず守れるとは限らない。

実現可能性を踏まえて計画を練り上げることに加えて、計画の策定後も日本を取り巻く安全保障環境の変化を的確に見極め、臨機応変に必要な手当てを講じてもらいたい。

2点目は国力としての防衛力という視点だ。G20(20カ国・地域)の機会を捉えて実施した首脳会談のように、同盟国・同志国との連携強化や周辺国との意思疎通を図ることも抑止力の強化になる。自衛隊を中心とする防衛力に加え、外交や経済財政なども含めた国力としての防衛力を強化していく視点で検討を続けてもらいたい。

最後に国民の理解だ。安全保障に対する国民の関心がこれまでになく高まっている。日本を取り巻く厳しい安全保障環境やこれを乗り切るために必要な措置、国民にとって痛みを伴う負担について、首相自らの言葉で語りかけてもらいたい。国民の生命と財産を守り抜く決意を表明してもらうと同時に国民の理解を得るよう、努めてもらいたい。

喜多恒雄・日本経済新聞社顧問 3回の会議での議論を反映した内容になっている。縦割りを打破した総合的な防衛体制の強化の新たな枠組みについて成案を得られたことは画期的だ。公共インフラについても画期的な取り組みがつくり出された。

今回の防衛力強化は中国の脅威を念頭に置いたものだと理解しているが、中国の軍事力の増強は高い経済成長と歳入の増加によって実現していることを留意すべきだ。5年後や10年後を見据えて防衛力を抜本的に強化するなら、必要な資金を賄う経済成長と強固な財政基盤をつくり上げていかねばならない。

経済力を強化し、国を強くして国民の理解を得て防衛力の強化に取り組む。今回の報告書がそのきっかけになるように切望する。報告書は一里塚にすぎない。22年末までに税負担を含めて具体化することこそが重要だ。首相の強いリーダーシップをお願いしたい。

翁百合・日本総合研究所理事長 意見を3点述べたい。まず防衛力強化について国民の理解・納得を得るためにも、必要な財政需要を議論するにあたり丁寧で透明性の高い議論を積み上げてもらいたい。

報告書にも記載されている。歴史の教訓に学び、後世から見ても評価される政府の対応が求められる。防衛力の強化と財源確保などをつなぐ年末の予算編成・税制改正は大変重要で、先送りの余地がない課題だ。政府一丸となって英知を結集し、具体的な結論を出してもらいたい。

次に総合的な国力の強化の重要性だ。少子化・人口減少の問題意識にも触れているが、現政権が進めている防衛力強化や全世代型社会保障の構築、成長戦略は日本の未来にとっていずれも重要だ。政府には有効な資源配分とともに必要な制度改革を着実に進め、持続性のある総合的な国力の強化を図ってもらいたい。

最後に歳出改革の重要性について触れたい。新型コロナウイルス関連の病院支援などの補助金によって生じた独立行政法人の積立金の早期返納などは当然のことだ。厳しい安全保障環境を乗り切る必要性を考えると、歳出改革の取り組みを本格的に幅広くかつ継続的にやってもらいたい。

上山隆大・総合科学技術・イノベーション会議議員 すばらしい報告書をまとめてもらった。防衛予算と研究開発に関して1点だけ追加させてもらう。

いまの戦争状況下で誰の目にも明らかになった事実がある。何度も話が出たサイバーセキュリティーの問題だ。政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)では過去30年にわたる各国のサイバーセキュリティーに関する研究開発の調査を重点的にやった。

攻撃系、防衛系、あるいはブロックチェーンなど様々な分野での各国の研究成果と人材育成の変遷だ。明らかになってきたことは中国と米国だけが突出し、イスラエル、インドが続く。そこに日本の研究開発がほとんどないという実態だった。

20年ほど前に米国防総省の予算が全米科学財団(NSF)を凌駕(りょうが)し、過去30年にわたりサイバーセキュリティー関係のスタートアップ企業が続々と生まれている。そのスタートアップ企業のどこにも日本の企業が存在しない。つまりサイバーセキュリティーに関する努力をしようと思っても、人材が日本にはどこにも存在せず、核となる企業体も存在しないという極めて憂慮すべき事態だ。

防衛予算の拡大は単なる技術開発のみならず、広範囲な人材育成と産業展開に用いられるべきだという以前からの私の主張を裏づけるものになったと考える。今回まとめてもらった防衛予算に関する提言はこのような研究開発や人材育成、産業転換に役立つものになるべきだ。

佐々江氏 各委員からの発言を踏まえると報告書案は了承かと思う。閣僚の皆様からも発言をいただきたい。

林芳正外相 日本を取り巻く安全保障環境が深刻化するなか、力による一方的な現状変更を抑止し、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保して日本にとって望ましい安全保障環境を創出する必要がある。

そのためには日本自身の防衛力の抜本的強化に加え、抑止力強化のための同志国などとの国際的協力といった外交的取り組みを通じて貢献していきたい。

財源については有識者の皆様の提言も踏まえて関係省庁で検討されると承知している。防衛力強化を長期に支えていくためには、どのような財源であっても国民の理解が不可欠で、政府として丁寧に説明していく必要があると考えている。すばらしい報告書をまとめていただいたことを感謝申し上げる。

鈴木俊一財務相 防衛力の抜本的強化に向け、国民の理解と納得を得ることが不可欠だ。有識者の皆様には高い見地から骨太な議論を集中的にしてもらい、提言に取りまとめていただいたことに心より感謝申し上げる。

防衛予算は着実に執行し装備品を調達・配備・運用できる実現可能性が求められること、防衛力の抜本的強化にあたっては安定した財源の確保が基本であり、今を生きる世代全体で分かち合っていくべきこと、といった委員の皆様の指摘の一つ一つを重く受け止める。

22年末に向け、防衛相をはじめとする方々とよく連携して検討を深めたい。大変充実した議論をしていただいたことに感謝申し上げる。

浜田靖一防衛相 これまで精力的に議論いただき、感謝を申し上げる次第だ。有識者会議の議論を聞き、私たちはいま戦後の防衛・安全保障政策の大きな転換点に立っていることを改めて実感した。

皆様とともに日本が持つ技術力や経済力、財政力を日本の防衛のために生かす議論ができたことは大変画期的だ。戦後最大の危機のなか、日本を防衛するためには総合的な国力とともに防衛力を抜本的に強化することが不可欠だ。

委員の皆様方から「反撃能力」の保有を含め、力強い意見をいただいた。防衛相として皆様の意見を踏まえつつ、防衛力の抜本的強化をやり遂げる覚悟だ。防衛省・自衛隊として、いま何のために防衛費を大幅に増額し、防衛力を抜本的に強化しなければならないのかについて国民の理解と共感を得られるよう説明責任を果たしてまいりたい。

岸田文雄首相 本日の会議で佐々江座長から取りまとめ案の報告があった。これまでの有識者の皆様の議論が丁寧に盛り込まれ、よく整理された内容となっており尽力に心から感謝申し上げる。

かねて防衛力の抜本的強化については必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算の規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていくと申し上げてきた。

その中で防衛力の抜本的強化の目的や必要性、また研究開発・公共インフラ・サイバー安全保障および国際的協力の各分野における縦割りを打破した総合的な防衛体制の強化に資する取り組み、そして経済財政のあり方について高い見地からご意見をいただいた。

こうした論点について後日、有識者会議の報告書を踏まえつつ与党と相談しながら政府として検討を進めていく。改めて皆様の尽力に感謝申し上げる。

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