出生数、今後は減少へ 出産期人口がピーク越す
仕事と育児、両立支援が不足
2010年の出生数の上昇は1971~74年に生まれた団塊ジュニア世代など30代後半の世代がけん引した。今後、出産適齢期の女性の数は年ごとに減っていくため、出生数の伸びも鈍るとみられている。少子化対策が急務になっている。
10年の出生数は前年に比べ1271人増の107万人となり、2年ぶりに増加に転じた。35歳以上の母から生まれた子どもの数が25万5505人と、前年比1万4千人強増えた。一方、34歳以下の母から生まれた子どもは1万3千人減の81万5796人だった。
出産年齢でみると、95%は20~39歳で子どもを産んでいる。この世代の人口が減れば、出生数の減少につながりやすい。20~39歳の女性の数は総人口ベースで00年に1730万人だったが、10年には1583万人に減少。20年には1299万人へ縮小する見通しだ。
民主党政権は10年から子ども手当の支給を始めたが、子どもを持つ親からはむしろ保育所の増設など仕事と育児の両立を支援するサービスを求める声が強い。ただ、政府が検討中の「子ども・子育て新システム」は幼保の一体化に重点が移り、保育サービスの拡大などには踏み込み不足との指摘がある。
結婚の数は前年に比べ7521組減少し、70万213組に縮小、23年ぶりの低水準となった。背景には、派遣社員やフリーターの増加など経済的な理由もあるとみられている。総務省によれば、30歳代で正社員の男性の約6割は結婚しているが、非正規社員の場合、3割弱にとどまるという。