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みずほ銀行、障害の発端は人為ミス

ITガバナンスにも課題を残す

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「社会インフラを担う銀行として、あってはならないトラブル。ご迷惑をおかけした皆様におわび申し上げる」。みずほ銀行の西堀利頭取は、2011年3月15日から続く大規模システム障害に関する記者会見でこう陳謝した。

15日朝に表面化した障害は、振り込みシステムから起きた。「初動対応に不手際があった」(西堀頭取)ため、これが勘定系システムに波及(図1)。その結果、最大で116万件の振り込みが未処理になった。窓口業務やATM(現金自動預け払い機)もたびたび停止した。

みずほ銀は24日午前10時時点で、障害の原因を詳しく発表していない。だが日経コンピュータ誌の取材で状況が明らかになってきた。

結論から言うと、今回の障害の直接の原因は人為ミスである。だが被害が拡大した真因は、みずほ銀の振り込みシステムの作りにあった可能性が高い。さらに問題の根底には、ITガバナンスの欠如も見え隠れする。

まずは障害が発生した経緯を説明しよう(表1)。

上限件数の設定を誤る

今回の障害は、都内2支店の複数の口座に14日、あらかじめ設定されていた上限件数を超える大量の振り込みが集中したことが発端となった[注1]

みずほ銀は口座開設時、1日に受け付けられる振り込み件数の上限を設定する。「普通口座は通常9999件にするが、大量の振り込みが予想される口座にはもっと大きな値を設定する」(関係者)。

だが、問題となった口座は「お客様に口座の用途を確認するプロセスにヒューマンエラーがあった」(西堀頭取)ため、そうした措置が施されなかったとみられる。

[注1]みずほ銀行は3月25日、今回のシステム障害の発端は、東日本大震災の義援金を受け付ける口座での設定ミスだったことを明らかにした。

このため14日夜からの夜間バッチで、振り込みシステムにエラーが多発した。このシステムはエラーデータを取り除いたり、ジョブ全体の整合性を保ちながら再実行したりするのに時間がかかる作りだったようだ。

結局、夜間バッチが15日のオンライン開始までに終わらず、新規の振り込み受け付けを一時停止した。さらに受け付け済みの振り込み38万件が処理できず残った。

15日夜からの夜間バッチでも、この未処理分を解消できず、逆に積み残し件数は増えていった。本来は夜間にこなすバッチ処理をオンラインが動く昼間にも実施したことから、システムの負荷が高まりATMの突発停止まで起きた。

みずほ銀は19~21日の3連休、全ATMを休止して積み残しを処理した。だが、処理したはずの5万9417件の振り込みが未入金になるトラブルが起きたほか、二重振り込みも見つかった。運用の現場がかなり混乱していた様子がうかがわれる。完全正常化にはまだ時間がかかる見通しだ。

「アキレス腱」の強化で明暗

実は振り込みシステムは、銀行システムの「アキレス腱」といえる。大規模障害の大半は、大量の振り込みデータを時間内に処理できずに未処理データが雪だるま式に膨らんだ結果、オンラインに影響が及んで起きるからだ。

みずほ銀で2002年4月に起こった大規模障害も振り込みシステムから始まった。三菱東京UFJ銀行(旧UFJ銀行)も2002年1月、三井住友銀行も2003年11月、同様の処理遅延を経験している。

これを教訓に3行は、それぞれ対策を講じた。例えば三菱東京UFJ銀はシステム統合「Day2」で振り込みシステムを全面刷新した際、振り込みデータをそれまでのシーケンシャルファイルではなく、データベースに格納し、1件ずつ処理できるようにした。エラーデータがあっても全体の処理は継続できるようにするためだ。従来は帳票で目視チェックしていた処理結果も、パソコンで1件ずつ確認できるように変えた。

みずほ銀も2002年の大規模障害後に振り込みシステムに手を入れたとされる。だが、結果として今回の事態を防げなかった。

東日本大震災の後、三菱東京UFJ銀や三井住友銀の口座にも大量の振り込みが集中している。だが、これら2行では処理遅延などは表面化していない。過去の障害を踏まえたシステム対応の差が明暗を分けたといえそうだ。

「今回のトラブルの責任は、現場のシステム担当者ではなく経営陣にある」。大手銀行の元CIO(最高情報責任者)は断言する。「振り込みシステムは地味だが、こうしたシステムこそお金をかけて安定稼働を維持しなければならない。そうしたIT投資が十分ではなかったのではないか。だとすれば根本原因は経営陣によるITガバナンスの欠如にある」と続ける。

経営陣の責任は重い。

(日経コンピュータ 中田敦・大和田尚孝)

[日経コンピュータ 2011年3月31日号の記事を基に再構成]

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