「ブラック企業」8割で法令違反 厚労省立ち入り調査
過酷な労働を強いる「ブラック企業」の疑いがある企業への厚生労働省の立ち入り調査で、全体の82%に当たる4189の企業・事業所で違法な時間外労働など労働基準関係法令の違反があったことが17日、分かった。残業や休日出勤の時間が過労死の認定基準の一つである月100時間を超えたのも730事業所に上る。違法な過重労働の事業所がまん延する実態が裏付けられた形だ。
厚労省は違反があった企業に是正勧告をしており、改善が見られない場合は所管の労働基準監督署が労働基準法違反容疑などで送検、社名を公表する方針。
調査対象は、無料の電話相談やハローワークなどを通じ、過重労働に関して深刻で詳細な情報が寄せられた5111事業所。企業規模別では従業員数300人以上が30.9%で最も多い。今年9月に立ち入り調査した。この種の全国調査は初めてという。
法令違反で最も多いのは「違法な時間外労働」の2241事業所で、全体の43.8%。「賃金不払いの残業」(23.9%)、賃金や勤務時間などの「労働条件を明示せず」(19.4%)と続く。業種別では製造業(1222事業所)や小売・卸売などの商業(821事業所)、運輸交通業(491事業所)などの違反が目立った。
また、立ち入り調査時に残業と休日出勤の時間が最も多い労働者を確認したところ、1230事業所で1カ月当たり80時間を超えていたことが判明。うち約6割の730事業所では同100時間を超えていた。