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株主優待で得をしない人たち

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日本マスタートラスト信託銀行(MTBJ)という名前を聞いたことがあるだろうか。資産管理業務を専門に取り扱う、つまり有価証券の保管や管理を行う日本初の信託銀行として2000年に業務を開始した。20年3月末の資産管理残高は412兆円と日本の国家予算の何倍もの規模だ。

もう少しその仕事を具体的に言うと、年金基金や投資信託などの信託資産を預かって管理すること。年金基金や投資信託など資金の出し手、つまり投資家は一般的に投資顧問などの運用会社に運用を委託する。彼らは「資産運用のプロ」だ。対して決済業務、有価証券の保管、残高管理、配当の受け入れなどの管理業務を手掛けるMTBJは「資産管理のプロ」というわけだ。

こういった管理のプロは別名「カストディバンク」や「カストディアン」とも呼ばれる。そして株主名簿には名義人としてその名前が載ることも多い。例えばトヨタ自動車の20年3月末時点の大株主上位10社を見ると、一番上に日本トラスティ・サービス信託銀行、次が豊田自動織機、3番目にMTBJが来る。日本トラスティ・サービス信託銀行もMTBJと同じカストディアンだ。

それでは株主優待を絡めた本題に入ろう。MTBJは投資家の資産を管理しているだけ。自分たちが投資しているわけではない。だがお金を出している実質株主に代わって株主名簿に載る名義人になることが多いため、株主優待品はMTBJのところに送られてくる。しかしMTBJはあくまで管理人の立場。株主優待という経済的利益を本来受け取る権利は資金の出し手にあるため、MTBJは優待品を「信託財産」として厳重に管理している。

東京都港区にあるMTBJの本店に株主優待品が届くと、オペレーション係、チェック係という2人体制で開封して中身を確認、管理台帳システムに登録しセキュリティーが厳重な金庫で保管する。その扱いは優待品がコメだろうが缶詰だろうが、小切手と同様だ。冷蔵や冷凍で届くものもあるため、冷蔵庫も冷凍庫も完備してある。

届く量が多いため、外部の倉庫も活用する。証券会社のように廃棄することなどは一切ない。「あくまで届いた優待品は大事な信託財産だから、しっかり管理している」(木村通利・業務企画推進部ビジネス開発グループグループマネージャー)のだ。

金券ショップを支えている

そして基本的な考え方として、優待で届いた品は換金することになっている。面談などで適正と判断した複数の買い取り業者による入札を年に5~6回実施し、クオカードや航空券などを最も高値を提示した業者に売る。ここでもできるだけ高く売る努力は惜しまない。換金して得たお金は即、信託契約を結んでいる顧客の口座に配分する。こうした年間換金額は3~4億円に達するという。

街中の金券ショップで株主優待の航空券や各種入場チケットなどを購入したことがある人も多いだろう。MTBJのようなカストディアンは、こうした金券ショップにおける最大級の供給者だ。個人株主も不要になった優待券を売りに来るが、カストディアンはその量が桁外れに多い。金券ショップで株主優待関連チケットの値段が一定に保たれているのは、カストディアンが常に大量にタマを供給しているからでもある。

だが当然、MTBJに届く優待品は換金できるものだけではない。冷蔵、冷凍で送られてきたものや保管期限が早期に切れてしまう食料品などは換金できないため、寄付する決まりになっている。早期に消費しなければいけないものはすぐに電話して寄付先に引き取りに来てもらうという。寄付先についても厳格な基準をクリアした社会福祉法人や社会福祉協議会に選定してもらう仕組みを導入。寄付先は公平性を勘案し、毎年変えるという念の入れようだ。

こうした一連の流れには大変な手間とコストがかかっている。外部倉庫のレンタル料も当然、MTBJ持ち。そして換金したお金についても顧客の口座に戻すため、自らの収入には一切ならない。MTBJに届く大量の株主優待品は、1円の実入りも生まず、コストだけがかかる存在だ。株主優待で一切得をしない人たち。それはカストディアンの悲哀でもある。

(日経ビジネス 奥 貴史)

[日経ビジネス電子版2020年11月19日の記事を再構成]

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