「特定抗争」指定が発効 山口組と神戸山口組、6府県
暴力団の山口組と神戸山口組の間で相次ぐ抗争事件を受け、兵庫、大阪など6府県の公安委員会は7日、両組織を「特定抗争指定暴力団」に指定したと官報で公示した。「警戒区域」内では、組員のおおむね5人以上での集合や事務所への立ち入りが禁止となる。指定の発効で組織の活動が制限されることになり、抗争への一定の抑止効果が期待される。
7日午前10時ごろ、大阪市中央区の神戸山口組系の組事務所に、大阪府警の捜査員9人が立ち入った。「この事務所にとどまることは禁止されています」などと記された標章を出入り口の門扉やシャッターに貼り付けた。
山口組は、2015年に離脱した一派が神戸山口組を結成して分裂。両組織の間では19年4~11月、神戸市や兵庫県尼崎市で拳銃や自動小銃などを用いた抗争事件が4件相次いだ。凶器を用いた事件が繰り返され、一般市民が巻き込まれる危険が高まっていた。
6府県の公安委は暴力団対策法に基づき、事務所や幹部の居宅があり、抗争事件が起きる懸念が大きい地域を抽出。神戸市や大阪市、大阪府豊中市などの10市を警戒区域として両組織を特定抗争指定暴力団に指定した。期間は3カ月で、抗争の終結が確認されるまで何度でも延長できる。
警戒区域内では▽組員がおおむね5人以上集まる▽組事務所に立ち入ったり、新設したりする▽対立組織の組員に付きまとう――などの行為が禁止される。警察は事務所周辺の監視を強化。違反を確認すれば逮捕することもできる。
指定に先立ち、6府県の公安委は19年12月20~25日、組側への意見聴取の場を設けた。ほとんどが欠席だったが、大阪府では神戸山口組幹部が組長の代理人として出席。府公安委が指定の理由として挙げた、19年8月に神戸市中央区で山口組系組員が銃撃され、12月に神戸山口組山健組の組長が逮捕・起訴された事件について「真実ではないと思います」と陳述した。
指定に向けた動きが本格化した19年12月には、大阪市浪速区で山口組系組員が神戸山口組系組員に包丁で襲われる事件が起きた。大阪府警幹部は「指定の抑止効果は大きいが、決して油断はできない。区域外も含めて十分な警戒態勢を整える」としている。