伝統守り、華やかに 22日午後に「即位礼正殿の儀」
天皇陛下の即位に伴う一連の儀式の中心となる「即位礼正殿の儀」がいよいよ22日、皇居・宮殿で執り行われる。天皇、皇后両陛下や皇族らが伝統装束に身を包み、厳かな雰囲気の中で進む儀式は、前回をほぼ踏襲しつつ、より伝統に沿う形で一部修正された部分もある。夜には各国の賓客と共に即位を祝う「饗宴(きょうえん)の儀」が催され、皇居は終日、華やかなムードに包まれる。
■平安絵巻さながら
陛下が高御座(たかみくら)の上から即位を宣言される即位礼正殿の儀は午後1時から、皇居・宮殿で最も格式が高いとされる松の間で行われる。陛下は天皇専用の装束の黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)、皇后さまは十二単(ひとえ)をまとわれ、秋篠宮ご夫妻ら皇族方も伝統装束姿で同席。松の間に面する中庭には、荒天でなければ、菊の紋などが入った色とりどりののぼりも立ち、平安絵巻さながらの光景が繰り広げられる。
外国元首や王族、国内の閣僚や自治体、経済や文化など各界の代表者ら約2千人が参列し、中庭を取り囲む回廊や3つの部屋に分かれて儀式を見守る。会場内では参列者は古来の打楽器、鉦鼓(しょうこ)の音を合図に起立したり敬礼したりする。
■「宸儀初見」復活
儀式の流れは前回の平成時とおおむね同様だが、細部には変更点もある。前回は多数の招待客に配慮し、両陛下が入場する際に宮殿内の回廊を通って参列者の目に入る形にしたが、今回は裏口から入って高御座と御帳台(みちょうだい)に昇り、それぞれの帳(とばり)が開いて初めて参列者が姿を確認できるように改めた。
これは平安前期の儀式書「貞観儀式」に記載のある「宸儀初見(しんぎしょけん)」と呼ばれる伝統的な形式で、昭和天皇の即位礼まで踏襲されていた。宮内庁幹部は「より伝統に沿った形とした」と説明。その代わり、松の間から離れた参列者にも儀式の様子が分かるよう、今回は宮殿内に大小30台のモニターを設置し、中継映像を映し出す。
■VIP集い、華やかに
台風19号による各地の被害を受け、政府は皇居・宮殿からお住まいの赤坂御所までをパレードする「祝賀御列の儀」を11月10日に延期したが、午後7時20分からの「饗宴の儀」は宮殿で予定通り実施する。英国のチャールズ皇太子やオランダのウィレム・アレクサンダー国王夫妻ら各国の王室関係者のほか、フランスのサルコジ元大統領、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問ら各国の賓客が顔をそろえる予定だ。
出席者の服装は男性がモーニング、女性はロングドレスなどを基本とする。天皇陛下や男性皇族はえんび服、皇后さまや女性皇族はロングドレスに、それぞれ勲章を着けて臨まれる。
まず両陛下が竹の間で出席者とそれぞれ挨拶を交わされた後、出席者は春秋の間に移って日本の伝統的な舞楽を鑑賞。同9時前から豊明殿で食事が始まり、その後には2次会に当たる「後席」もある。両陛下が出席者らとお別れの挨拶を交わし、すべての日程を終えられるのは午後11時前となる見通しだ。