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リクルート「無償の愛」は卒業 渋谷の交流拠点閉鎖

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リクルートホールディングス(HD)が東京・渋谷のスタートアップ企業向け施設「TECH LAB PAAK(テック・ラボ・パーク)」を閉鎖する。大企業のインキュベーション施設の先陣として、3年間で1000人以上の起業家らが巣立った。同種の施設が渋谷に増える中、交流だけでイノベーションが生み出せるのか。リクルートの拠点閉鎖は一つの問いかけだ。

6カ月無料、米西海岸ツアーも

「皆さんが進化するのに自分たちがこのままでいいのかなと思っていました。場所にとらわれない活動を続けます」

3月9日夕に開かれたテック・ラボ・パーク3周年記念イベント。岩本亜弓所長(32)が6月の閉鎖を発表すると、卒業生から「さみしいー」の声が一斉に上がった。

2015年の開設から常時約50のチーム、120人前後が出入りしてきたパーク。イベントにも多くの出身者が集った。高校生らでロボットを開発するYoki(東京都日野市)の三渕優太副社長(16)は「毎週大人の起業家の声を聞けて、とてもフレンドリーな空間だった」と振り返る。

パークは毎週金曜夜に交流パーティーがあり、同期や先輩後輩の付き合いも濃い。女性向けの防災備蓄用下着を開発するファンクション(東京・港)の本間麻衣社長(40)は「前向きな人が多く、モチベーションアップにつながった。下着のデザインは同じ9期生に依頼した」という。

起業の街・渋谷でパーク構想が動き出したのは14年。初代所長の麻生要一氏(34)は「当時は大企業が開く交流拠点はほとんどなかった。イノベーションが生まれ続ける土壌をつくりたかった」と明かす。

場所は1階にアップルの直営店がある好立地のビルの6、7階。審査を通ったチームは6カ月間無料で使える。飲料水やスナック菓子も無料。30歳以下の選抜メンバー向けに春と夏には無料のシリコンバレー1週間体験ツアーもあった。

リクルートはパークに集うスタートアップに出資せず、事業連携も進めない。短期的な見返りを求めず、「無償の愛」(岩本所長)を与え続けた。起業家たちとの交流の輪の中にいることで、最新の技術トレンドに触れることが狙いだった。

そのため各期の募集時にロボットや人工知能(AI)などのテーマを設定し、技術系起業家が集まりやすくした。メンター(相談相手)は日本マイクロソフトなど大手企業から招いた。

卒業起業家らは1000人以上

仮想現実(VR)を使ったロボット遠隔操作技術を開発する米GITAIの中ノ瀬翔最高経営責任者(CEO、31)は「居心地がよく」2回入居した。「高い技術力がある人たちとの付き合いができた」といい、2回目の入居では自らアドバイザー役も務める。

ブロックチェーン(分散型台帳)を活用したサービスを手がけるGinco(ギンコ、東京・渋谷)の森川夢佑斗社長(25)は「17年に起業したばかりで入居し、期間が6カ月と決まっているので実現可能性など本当に真剣に考えた」と語る。

そんな起業家たちの楽園にも、運営者のリクルートには悩みがあった。「渋谷に大企業が乗り出してくるイメージを出したくなかった」(岩本所長)ため、リクルート色はなるべく薄めた。その結果、渋谷での活動はリクルート社内でほとんど浸透していなかった。

リクルートHDの幹部は「これだけの活動があるなら、もっと本体にもいい影響を与えてくれてもいいはず」と厳しい。起業家とのコミュニティーが自社のオープンイノベーションにつながっていないという指摘だ。

中途退職を「卒業」と呼び、多くの起業家を輩出してきたリクルート。しかし最近では同社OB起業家から「リクルートも大企業病になったのか、硬直的だ」との声も聞こえる。HD内部にもこうした声を意識し、変革のスピードを上げたいとの思いが募っていた。

事業との相乗効果という次のステージに向けた動きは始まっている。

17年1月にパーク出身者とリクルート社員が交わる「MEET SPAAC(ミート・スパーク)」を開催。パーク出身の34チームが参加し、会場は100人以上が集まりすし詰めになった。各チームのアイデアを事業部が聞き、資金は新規事業を手がけるリクルートベンチャーズから出す仕組みだ。

まだ大きな成果は出ていないが、1000人を超えるパーク出身者との協業の芽はいくらでもある。

不動産特化型クラウドファンディングを手がけるクラウドリアルティ(東京・千代田)の鬼頭武嗣社長(36)は、「(技術を使って市民主体で地域課題を解決する)シビックテックや地方創生の個がつながるビジネスで、リクルートとの相乗効果は大きい」と語る。

ギンコの森川氏も「リクルートはもっとスタートアップに金を投じて欲しい」と訴える。卒業起業家がベンチャーキャピタル(VC)などから調達した金額は累計38億円に達するが、大きく飛躍するにはまだ足りない。

リクルートがスタートアップの保護者から「大人の関係」に踏み出し、若い企業と世界に通じる新事業を育成できるか。「リスクを取る」という本来の意味のベンチャー精神を取り戻すことが、リクルートの次の成長には欠かせない。

シブヤにすり寄る大企業

渋谷はサイバーエージェントDeNAGMOインターネットといったネット企業や東京急行電鉄を除くと大企業とは縁遠かった。だが近年、リクルートホールディングスが起爆剤となり、同様のインキュベーション拠点が増えている。

進出企業の業種は様々。三井住友フィナンシャルグループ(hoops link tokyo)やパナソニック(100BANCH)、パーソルキャリア(TECH PLAY)、朝日新聞社(メディアラボ渋谷分室)などだ。

多くの企業は都心東部の本社から離れた渋谷に"別動部隊"を置き、自社のアピールや情報収集のほか、将来の事業連携を探るのが目的だ。無料イベントを開き「シブヤ的な世界」にすり寄っている。

起業家の間では「渋谷のコミュニティーが広がった」と好意的な声がある一方、「大企業はハコや投資枠は設けるが、次の提携までの一歩が遅い」と冷めた指摘もある。

渋谷以外も含めて類似拠点が増え、違いが分かりにくくなってきたのもリクルートがハコを閉める一因と言えそうだ。多くの大企業から無償の愛を受ける起業家たち。双方にとって「過保護」にならない距離感も重要だ。

(企業報道部 加藤貴行)

[日経産業新聞 2018年3月26日付]

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