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平昌五輪なのに「時差」? 米TVが影響力

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2月9日の平昌冬季五輪開幕まであと10日となった。日本と時差のない久々の五輪は選手にも観戦するファンにも「優しい大会」と思いきや、午前に始まるフィギュアスケートのように「昼夜逆転」のスケジュールが少なくない。欧米の五輪離れが進む中で2年後に東京、4年後にも北京とアジア開催が続くが、舞台裏では米国のテレビマネーが糸を引いている。

「やっぱりNBCの発言力は大きい」。平昌五輪の日程を見ながら、日本の放送関係者はつぶやく。フィギュア、スノーボード、フリースタイルスキー。連日午前から昼すぎにかけて北米で人気の競技が行われる。いずれも普段は夜の開催も少なくない競技だ。

冬季五輪の華であるフィギュアは米国でも人気が高く、羽生結弦選手や宇野昌磨選手とメダルを争うネーサン・チェン選手もいる。五輪連覇のショーン・ホワイト選手がいるスノーボードやフリースタイルスキーは「Xゲーム」でも行われ、国際オリンピック委員会(IOC)がマーケット層として重視する若い世代に絶大な人気を誇る。

逆に欧州で人気のスピードスケートやジャンプは、通常と違って夜の遅い時間帯に行われる。スピードスケートの金メダル候補、小平奈緒選手を指導する結城匡啓コーチは「時差のない国で行われるけど、競技としては時差のある大会と受け止めている」と対策の必要性を語る。

「いまの五輪はテレビの意向を無視して開催できない」。元NHKで五輪放送に関わってきたスポーツプロデューサーの杉山茂氏は指摘する。放送権料と協賛料を収入の二本柱とするIOC。なかでも傑出した"スポンサー"が米NBC(NBCユニバーサル)だ。

同社は2014年ソチから32年夏季まで10大会分の米国向け放送権を、約120億ドル(約1兆3千億円)で獲得済み。全世界放送権料の約50%、IOC全収入の約4割を1社で支払っている計算だ。NHKと民放の日本連合が18年平昌から24年パリの4大会分で契約した放送権料が1100億円だから、いかに巨額かが分かる。

膨らむ開催経費、施設の後利用の難しさが嫌気され、欧米では五輪の招致熱が冷え込んだ。アジアで3連続開催は「五輪冬の時代」の産物ともいえるが、NBCの影響力は市場としての米国が存在感を失っていないことも示している。

20年東京も影響を受けるのは必至だ。日本水泳連盟は競泳決勝の夕方実施を求めている。08年北京がそうだったように、午前決勝がささやかれているからだ。大会組織委員会の室伏広治スポーツ局長は「会場で生で見る人よりも世界中でテレビを見る人の方が多い。バランスよく決めていく必要がある」と話している。

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