楽天、携帯電話事業に参入発表 2019年サービス開始へ
楽天は14日、携帯電話事業者への参入を発表した。通信規格「4G」の周波数帯の取得に向け総務省へ申請する。現在は大手から設備を借りることで通信事業を運営している。自前で回線や設備を持ち通信品質などを高め、約10年後をめどに1500万以上の契約件数を目指す。
周波数帯の認可がおりれば、新規事業者への周波数帯の割り当てはイー・アクセス(現ソフトバンクグループ)以来、13年ぶりとなる。
年明けにも携帯電話事業の新会社を設立し、電波の割り当てを申請する。電波を送受信する基地局の整備などに数千億円の投資が必要になるため、サービス開始時に2000億円、2025年までに最大6000億円を借り入れる。19年から携帯キャリアとして新サービスを始める。
総務省は大手携帯3社の寡占について懸念を示していたが、新規の通信事業者の育成ができていなかった。総務省は11月に公表した周波数帯の割り当て案で、新規事業者による申請について「審査基準において加点」するとしている。総務省は、「1.7ギガヘルツ」と「3.4ギガヘルツ」の電波を携帯電話向けに開放する方針で、来年2月ごろに業者からの申請を受け付ける。
楽天は14年から、NTTドコモから回線を借りて格安スマホ事業「楽天モバイル」を運営。11月には同業のフリーテルを買収して約140万の契約者を持つ。ただ1契約あたりの収入が低い上、ドコモに支払う接続料があるため利益率は高くない。自前で周波数帯や設備を所有すれば投資負担は重いが、大手3社からの接続料を支払う必要がなくなるため、サービス向上に資源を向けやすくなると判断した。
楽天のグループ内に抱えるスポーツ中継といった動画ビジネスと組み合わせ、通信と放送の融合も進める。4Gの設備をまずは整備することで、20年に実用化が始まる次世代通信規格「5G」の利用に向けた足がかりともしたい考えだ。
かつてイー・アクセスが携帯事業に参入したが契約数を大幅に増やせず、同社はソフトバンクに買収された。数千万の契約数を持つ大手携帯3社と新規参入組との差は大きく、楽天が新規事業を継続するのは簡単ではない。