英国民投票、若年層は大半が「残留」 世代間で意識に違い
【ロンドン=篠崎健太】欧州連合(EU)離脱の是非を問いかけた23日の英国民投票では、英国人の世代間の意識の違いが浮き彫りになった。52%対48%と僅差で離脱派が勝利したが、投票先を年代別にみた各種調査では、年齢が高くなるほど離脱を支持し、逆に30代以下の若年層は残留が多かった。若者の間には不満がくすぶり、今後は世代間の政治的な分断が論議を呼びそうだ。
英調査機関ロード・アシュクロフトによる1万2369人の投票分析をみると、世代間の断裂が鮮明だ。18~24歳の73%、25~34歳の62%が残留を支持。ところが45~54歳を境に離脱が多くなり、65歳以上では60%が離脱に投票していた。
世論調査会社ユーガブの調べでも18~24歳の約4分の3が残留に票を投じた。人やモノが自由に行き交う「EUの中の英国」で育った若者の声が、反EU感情や大英帝国時代への郷愁が強いとされる中高齢層に押し切られたとの見方がある。
世代間の断層には英メディアも大きく注目している。高級紙ガーディアン(電子版)は「75%の若者は何を感じたか」と題した24日付の記事で、多くの若い読者から離脱決定に怒る意見が届いたと紹介。「私の声を聞くことなく離脱が決められた。親世代が受けた利益を受けられない」という、投票権がなかった17歳読者の投書を載せた。
英国ではインターネットで投票やり直しを求める署名活動が始まっている。ロンドンの首相官邸前で「国境は要らない」と書かれたプラカードを持つ若者がデモを行うなど、EUからの離脱が決まった投票結果の再考を促す動きが出ている。