平和条約「安倍首相と解決」 プーチン大統領が意欲
森元首相と会談
【エカテリンブルク(ロシア中部)=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は9日夜、エカテリンブルクで森喜朗元首相と会談した。北方領土問題を含む日本との平和条約交渉について「(安倍晋三首相と)2人で解決したいという思いを強くしている」と述べ、進展への意欲を示した。
森氏によると、プーチン氏は7日に初会談したトランプ米大統領について「大変面白く、可能性を持っている大統領だ」と高く評価した。会談はプーチン氏の求めで通訳だけを交えた夕食会形式で約1時間40分にわたって開かれた。
森氏はプーチン大統領と長年にわたり信頼関係を築いてきた。森氏が首相だった2001年には、大統領1期目だったプーチン氏とシベリアのイルクーツクで会談。北方四島のうち歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を「交渉の出発点」とすることを確認し、領土問題の進展へ期待を高めた経緯もある。
森氏の訪ロには、安倍首相が熱意を見せる北方領土での共同経済活動の前進を後押しする狙いがある。首相は9月上旬にウラジオストクで開く東方経済フォーラムでプーチン氏と会談する際に、実現をめざす事業を選定し、実施の前提となる「特別な制度」の方向性についても合意を得たい考えだ。
ロシアは2018年3月に大統領選を控えている。北方領土を巡り、落ちついた環境で協議ができる今秋までに共同経済活動の道筋を描きたい考えだ。