【低評価を覆した男たち】汚れ仕事いとわぬ内田篤人、黙々とトンボをかけた少年時代

過去もっとも、日本代表への期待感が薄かった大会ともいえた2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会。なぜこの時の日本代表は、前評判を覆し16強という結果を残すことができたのか。同大会前に代表23選手を扱った連載「奇跡に挑む者たち」を復刻掲載。彼らのルーツに、ブレイクスルーを成し遂げるヒントが隠されている。DF内田篤人編。(2010年5月22日紙面より 所属、年齢など当時)

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<2010南アW杯 DF内田篤人編>

雨が少しだけ冷たかった。太陽も落ちた、ある日の夜。田方FC(現田方トレセン)の練習が終わると、小学4年生の内田は木製のトンボに駆け寄った。仲間の先頭に立ち、黙々と土のグラウンドをならした。5年後の函南中3年になっても、その姿は変わらなかった。厳しい練習後、グラウンドを10周走り込むと、やはりトンボを握っていた。田方FCコーチで函南中サッカー部監督だった佐藤文昭氏(63)の教えをかたくなに守った。