岩手県大槌町の小松倫子ちゃん(10)は震災直後から日刊スポーツの取材に応じ、成長する姿を毎年、読者に見せてくれています。震災7年特集の今回も、継続取材する松本久記者(52)と対面。すっかり「お姉さん」になり、将来の夢などを語ってくれました。

 倫子ちゃんは来月、小5に進級する。記者が1年ぶりに会うと、7年前に初めて出会ったころの幼さが抜け、10歳の女の子らしくなっていた。

 将来の夢を聞くと「ピアニストになりたい」と即答。取材を続けている間には「お姫さま」「アンパンマン」から「看護師」「お医者さん」と変化してきたが、いよいよ3歳から習っているピアノに照準を定めた!? ようだ。

 学校の授業では「図工」が得意。物作りに興味があるようで、料理も大好きだ。ただ、自宅では母広子さん(38)の「台所が汚れる」という厳しいチェックが入るので、近所に住む祖父母宅に遊びに行き、目玉焼きやホットケーキ作りに腕を振るう。今年2月のバレンタインデーには、手作りチョコを祖父の文男さん(67)にプレゼントした。「初めてのことでうれしくて、涙を流しながら食べました。すごくおいしかった」(文男さん)。

 2月下旬にあった親族の葬儀では「みんなが飲む茶わんを大人たちと一緒に運んでいる姿を見て、すっかり“お姉ちゃん”になったなと思った」。父正寛さん(42)も愛娘の成長に目を細めていた。

 「今しかできないことを楽しんでやってほしい」。愛娘に望むことを尋ねると、両親とも口をそろえた。「人の道に外れず、まっすぐに生きてほしい」という願いから名付けた「倫子」。広子さんが「まっすぐすぎて融通が利かないところがある」と苦笑いするほど、素直に育っている。

 小学校入学と同時に始めた空手は4級の腕前に達した。自宅で道着に着替えてもらい、正拳突きを見せてもらった。こちらも性格と同じで、力強く真っすぐな突きだった。