作家、映画監督としても活躍する、俳優大鶴義丹(50)が、舞台「小鳥の水浴」(21日初日、新宿シアター・ミラクル)で、初めて舞台演出に挑戦する。

「小鳥-」は劇団「状況劇場」を主宰していた、大鶴の父の俳優唐十郎(78)のライバルで、ともに60~70年代のアングラ劇団ブームをリードした劇団「天井桟敷」の主宰者で83年に亡くなった寺山修司氏(享年47)が日本で初上演した作品。

大鶴は「最初は出演もと思ったけど演出に専念します。オフオフブロードウェーのニューヨークテイストが強い作品なので、脚本をアングラテイストにして、2人芝居を3人芝居に書き直しました」。出演は、若い男女を岡田亮輔(35)と生井みづき、新たに書き加えた女の母親を上久保慶子が演じる。「映像と違って、編集でごまかすことができないので、サイズ感をしっかり設計しました」。

88年に映画「首都高速トライアル」で俳優デビュー。過去に6本の映画監督を務めたが、舞台演出は初めて。唐には「特には言ってない。他人の情報は聞きたがらない。自分の自慢だけしたい人なんで(笑い)」。「状況劇場」の系譜を継ぐ劇団「新宿梁山泊」で14年から舞台を踏む。「梁山泊に入ってからの6年は修業期間。40歳をすぎてからの本格的な舞台のノウハウを出していきたい」。

寺山氏ゆかりの作品を演出するプレッシャーには「意外とまひしている。デビューから、そうだったんで。とにかく自分の好きにやる。自分のベースの俳優としての感覚を大事にしたい」と話した。【小谷野俊哉】