歌舞伎俳優松本幸四郎(74)長男市川染五郎(43)、孫で染五郎の長男松本金太郎(11)が、18年1、2月の東京・歌舞伎座公演で、親子孫3代そろって襲名することが8日、分かった。幸四郎は2代目松本白鸚(はくおう)を、染五郎は10代目松本幸四郎を、金太郎は8代目市川染五郎を襲名する。

 この日、都内で会見が行われ、幸四郎は「今日のためにいろいろなことをやってきたとしみじみ、幸せに思います」、染五郎は「興奮、感激しています。高麗屋の芸を体現するために舞台に立ち続けていますが、名前が変わっても、それは変わりません」と話した。金太郎は「実感はまだないです」と緊張気味だった。

 81年、幸四郎の父で初代白鸚さん、幸四郎、染五郎が、親子3代そろって襲名した。当時、親子孫の襲名は歌舞伎界初で大きな話題になった。37年後に再び、親子孫3代の襲名が行われることに、幸四郎は「奇跡に近いこと」。襲名は染五郎の昨今の活躍を見て思い立った。幸四郎は「芸が『染五郎』の器をあふれ出ていた。『幸四郎』という器に替えて芸を詰め込んでほしい」と説明した。

 幸四郎も染五郎も、ミュージカル、ドラマ、映画など、歌舞伎以外でも活躍している。幸四郎は「白鸚の(ミュージカル)『ラ・マンチャの男』が見たいと思うお客さまがいらっしゃれば、応えなければいけない。まっさらな気持ちでお芝居を勉強したい」。

 襲名披露興行は歌舞伎座を皮切りに、京都南座、大阪松竹座、名古屋・御園座、博多座で行われる。【小林千穂】