<全国高校野球選手権:関西3-2九州国際大付>◇11日◇2回戦

 センバツ準優勝の九州国際大付(福岡)が、まさかの初戦敗退だ。関西(岡山)相手に、延長12回でサヨナラ負け。自慢の打線が5安打に抑えられ、エース三好匠(3年)の11回166球の熱投も実らなかった。

 春の準Vチームの、あまりにも早すぎる夏の終わりだった。延長12回裏1死一、三塁。本塁へ突っ込んだ三塁走者への高城捕手のタッチは一瞬、遅かった。「僕はアウトだと思ったんで、終わったとは思わなくて。みんなが帰ってくるのを見て、終わったんだな、と」。九州国際大付の高城はぼうぜんとした顔で整列に加わった。

 エース三好は、この夏最長となる11回、166球を投げた。4回には、公式戦ではセンバツ決勝以来となる本塁打を浴びたが、11回まで歯を食いしばって投げ続けた。福岡大会の完投は決勝だけ。「最後は球も浮いていたので交代は仕方ないと思いました」。12回に2番手の大江にマウンドを譲るときも素直に応じた。「三好はフラフラしながらもよく投げたね」。若生正広監督(60)はエースの力投をねぎらったが、9回に先頭打者で二塁打を放ちヘッドスライディング。龍の適時打で同点のホームを踏んだのはエースの意地だった。

 三好の自宅には両親へプレゼントしたセンバツのホームランボール2個と福岡大会のウイニングボール、ホームランボールなどが飾られている。これからまだまだ甲子園の記念のボールを並べるはずだった。「本塁打の球だけは悔いが残るけど、最後まで思い切り投げた。後悔はありません」。言い訳もなにもせず、エースの目に涙はなかった。

 センバツ準優勝から常に注目を浴びてきた九国大付ナイン。日本一には届かなかったが「最後を甲子園で終われたのはうれしいです」と三好とコンビを組んだ高城は目を潤ませた。スタメンのうち5人が2年生。悔し涙にくれた下級生たちが、先輩が残した全国制覇の夢を引きつぐ。【前田泰子】