朝岡聡さんは35歳でテレ朝退社しフリー「局アナ時代より稼いでいる? どうかなあ(笑)」

公開日: 更新日:

朝岡聡さん(元テレビ朝日アナウンサー/62歳)

 テレビ朝日系平日夜の報道番組「報道ステーション」の枠で、かつて放送されていた「ニュースステーション」。久米宏、小宮悦子らがお堅いニュースをわかりやすく、また鋭く切り込んで伝え、高視聴率を記録していた。同番組でスポーツを担当していたのが局アナだった朝岡聡さんだ。朝岡さん、今、どうしているのか。

  ◇  ◇  ◇

「外で話すのも何だから、家に来ちゃってください」

 横浜市内の某駅で待ち合わせた朝岡さん、まずはこう言って、愛車のドイツ車・クラブマンミニを駆って記者を自宅兼事務所へ。自宅は洋風の2階建て。テーブルやイス、カーテン、壁紙などインテリアの細部にまでこだわりが感じられる、実にオシャレな家だ。

「ヨーロッパのインテリアが好きでね。結婚を機に、一つ一つ買い集めました。ここに越してきたのは、フリーになってからですね」

 35歳でテレ朝を辞め、フリーになったという。

「当時は“アナウンサー35歳フリー説”を勝手に信じ込んでいたんですよ(笑い)。久米さんも、みのもんたさんも35歳でフリーになったので。よし、オレもフリーになって、番組のセンターでしゃべるぞ! と意気込んでいたんですねぇ」

 なるほど。

「最初は良かった。TBSの『筋肉番付』の実況をレギュラーでやらせていただいたりしてね。ところが、42歳のとき、パタッとテレビのレギュラーが途絶えた。ずっと画面に出ていた身としては、不安なわけです。小学生の娘に『パパ、何でずっとおウチにいるの?』と聞かれるし(笑い)。でも、それが転機となりました。“音楽留学”をし、アナウンサーとして自分だけのカラーを見つけることにつながったんです」

■現在の肩書は“コンサート・ソムリエ”

 久米司会の「ザ・ベストテン」(TBS系)などを見て育った朝岡さんは、アナウンサーを夢見た一方、ベートーベンの音楽が流れる家庭で育ち、小学生の時にリコーダーに魅了され、中高時代は吹奏楽部、大学では慶応バロックアンサンブルでサークル活動。クラシック音楽やオペラが大好きだったのだ。

「1年半の間、毎月1回、2~3泊5日で渡欧しオペラを鑑賞し、現地の名所・旧跡や食事を楽しみ、雑誌『音楽の友』に連載していました。それから本格的に“コンサート・ソムリエ”としてクラシックコンサートの企画、構成、台本執筆、司会をするようになりました」

 “コンサート・ソムリエ”の肩書は朝岡さんの造語。ワインソムリエのように、コンサートの客にクラシックの知識がなくても楽しんでもらえるように、との思いで名乗っているのだそうだ。

昨年4月に東京芸術大学客員教授に就任

 それにしても、フリーになり、いきなり留学なんて、奥さんがよく許してくれたなぁ。

「『やりたいなら、いいんじゃないの』と言ってくれました。私自身もまだ子供が2人とも小さかったのですが、先々を考えて不安になるより、『行ってみたい、行くなら今しかない!』という気持ちが強かったですね」

 案ずるより産むがやすし、か。

「今では月平均4、5回がコンサート・ソムリエの仕事です。ほかにイベントの司会もあり、また昨年4月に東京芸術大学客員教授に就任し、学生に舞台芸術の話をしています。局アナ時代より稼いでいる? 出ていくものも多いのでどうかなあ(笑い)。ステージ衣装をコンサートに合わせてあつらえ、CDや書籍の購入、17年連続でイタリアのオペラ座で鑑賞、イタリア語のプライベートレッスン……」

 さて、朝岡さんは1982年、テレ朝入社。野球プロレス実況を担当し、85年に「ニュースステーション」がスタートすると、初代スポーツ担当に。ほかに情報バラエティー「はなきんデータランド」などでも司会を務めた。

「『報道ステーション』と見比べると、『ニュースステーション』は世界の秘境を訪ねるドキュメンタリーがあったり、米俳優ハリソン・フォードをゲストに呼んだり、バブルの時代だったから豪華でした。久米さんは私がフリーになったとき、当時の事務所に紹介してくれた。小宮さんとは以前、『ニュースステーション』OB・OG会でお会いしました。番組終了後、おふたりと定期的に会うことはないですが、心のつながりはずっと感じていますね」

 27歳のとき、中学時代の同級生で、元JALの客室乗務員と結婚。30歳の長女は劇場のチケットセンターのオペレーター、27歳の長男・周さんはサックス奏者やアパレルデザイナーとして活躍中。

 長男は今年、結婚予定で、朝岡さんは目下、夫人と長女の3人暮らし。ジムに通って減量し、ときに料理や庭いじりも。

「季節に応じた花壇作りを楽しんでいます。今まで音楽の本を出してきたので、今度はルネサンス庭園のエッセー本を出したい。やりたいことが増えちゃって、ハハハ」

 3月9日、「サントリーホール」ブルーローズで「オペラ・アカデミー~オペラティック・コンサート」のナビゲーターを務める。

(取材・文=中野裕子)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  3. 3
    試合ガタ減り、選手クーデター未遂…“不毛の8年”で晩節汚した青木功JGTO会長ついに退任

    試合ガタ減り、選手クーデター未遂…“不毛の8年”で晩節汚した青木功JGTO会長ついに退任

  4. 4
    岸田自民は補選「全敗」確定情報…島根1区も水面下で“白旗”揚げちゃった? 党幹部すら諦めモードの末期状態

    岸田自民は補選「全敗」確定情報…島根1区も水面下で“白旗”揚げちゃった? 党幹部すら諦めモードの末期状態

  5. 5
    ソフトB山川穂高を直撃「古巣への不義理、SBファンの拒否反応をどう思っていますか?」

    ソフトB山川穂高を直撃「古巣への不義理、SBファンの拒否反応をどう思っていますか?」

  1. 6
    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

  2. 7
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  3. 8
    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

  4. 9
    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

  5. 10
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ