7月10日投開票の参院選新潟選挙区では、1議席を巡って、4選を目指す立憲民主党現職の森裕子氏(66)や自民党新人の小林一大(かずひろ)氏(49)ら4人によるサバイバルレースが過熱している。火花を散らす主人公たちはどんな人物なのか。人柄やプロフィルなど候補者の素の「横顔」を紹介する。

 

◆“武闘派”の癒やしは孫・森裕子氏

 国会議員生活は3期18年に及ぶ。党参院幹事長として同僚議員に議員立法の進め方をアドバイスしたり、子育ての悩みに乗ったりと、まとめ役として多忙な日々を送った。

 政治活動で「一番」とする成果は、2007年の中越沖地震を契機とした被災者生活再建支援法の改正だ。野党側の提案者として与党と調整の末、支援金は住宅再建にも使えるようになった。「東日本大震災などの被災者を救うことにもなった」と振り返る。

 政治の世界に身を投じるきっかけは夫の一言。旧横越町の社会教育指導員の任期を終えていた1999年、周囲から町議選への出馬を盛んに打診された。固辞したが「こんなに大勢が出てくれと言うんだから、出ればいいじゃないか」と背中を押されて決断した。

 政界入りの前、恩師の一人からこう言われた。「あなたは社会で何かを成す人。全ての人にいい人だと思われたいと思ってはいけない」。批判を恐れず進まないといけない。そう受け止めて国会に臨み、“武闘派”として鳴らしてきた。

 一方で「サバサバしていて『まあ、いっか』とこだわらない」のが本来の自身の性格だとし、政権を厳しく追及する姿とはギャップがあると告白する。

 新型コロナウイルス禍などで地元に帰れず、好きなバラの世話もできない日が続いた。そんな中で、3人の孫の動画や写真が唯一の癒やしだった。「ニヤニヤしちゃう」。かわいさのあまり、笑みがこぼれた。

◆息抜きは毎日の晩酌・小林一大氏

 「政治で地域が変わる、地域が元気になると目の当たりにしてきた」。元新津市長として地域の発展に力を尽くす父・一三氏の姿を身近に見て育ったことが政治を志した原点にある。

 大学卒業後は大手損害保険会社に勤めていたが、2004年に転機が訪れた。知事選への挑戦が2度目も実らなかった父を支えようと翌05年に帰郷し、家業である寺の副住職に就いた。

 まちづくりなどにも関わるうち「頑張る人を支える仕事がしたい」との思いが募り、父の背中を追うように政治の道へ。33歳だった07年に県議選新潟市秋葉区選挙区で初当選した。以来、朝の読経など寺の務めも果たしながら、4期15年の県議生活を送った。

 全県が舞台の選挙は初挑戦。18日間と長丁場の戦いだが、ランニングが趣味で、フルマラソンを3時間台後半で完走する体力の持ち主なだけに「走っている時はきついけど、ゴールした時の喜びが全てを忘れさせてくれる。それは選挙戦と一緒ですね」と笑う。

 息抜きは毎日の晩酌。特に好きだという新潟の日本酒を2合ほどたしなむ。「蔵ごとにさまざまな個性があって、本当に日本一、世界一だと思う」と熱く語る。東京に住む息子2人とテレビ電話で、娘2人とは自宅で近況を報告し合うなど、家族との触れ合いも心和むひとときだ。

 座右の銘は、何事にも動じない心を表す「不動心」。「ぶれずに(当選という)ゴールを目指す」と力を込めた。

▽「憧れ」出馬に自身も・遠藤弘樹氏(諸派・新)

 契機は長年の大ファンだった元大学教授の武田邦彦氏が政治団体「参政党」から参院選に出馬するのを知ったことだった。「何か手伝えないか」と4月に参政党に入党。「国のため、子どもたちの将来のため」と自身も立候補を決意した。

遠藤弘樹氏

 新潟市北区出身。首都圏で働いた後、新潟に戻り父が経営する会社に入社。現在は2トントラックの部品を製造するラインの一部を担っている。

 妻と4歳の息子の3人暮らし。出馬を伝えると妻は「全力で応援する」と応えてくれた。家族の力強い後押しを胸に選挙戦に臨む。

▽暇なら毎日ゴルフに・越智寛之氏(NHK党・新)

 NHK党の知名度向上を目指して縁もゆかりもない新潟選挙区に送り込まれた。同党の魅力は「何事も自由であること。NHKの(受信料を払った人だけが視聴できる)スクランブル放送を目標にすれば何をやってもいい」と語る。

越智寛之氏

 愛媛県出身。2019年に岡山県でIT会社を起こした頃に同党の立花孝志党首と出会った。営業活動の一環で選挙に出るようになり、同県で参院選などに計3回出馬し落選した。

 ゴルフが趣味で「立花党首のゴルフのお供は私。暇な時期は毎日のように行きます」と声を弾ませた。

◇参院選立候補者(届け出順)

遠藤 弘樹(えんどう・ひろき) 42 会社員 諸派 新

越智 寛之(おち・ひろゆき) 48 会社役員 N党 新

森 裕子(もり・ゆうこ) 66 党参院幹事長 立民 現(3)=社民推薦=

小林 一大(こばやし・かずひろ) 49 前県議 自民 新=公明推薦=

(現は現職、新は新人。かっこ内の数字は当選回数)