雪のシーズンに入り、新潟県内はいきなりの豪雪(ごうせつ)見舞(みま)われました。こんなとき夜中や朝方も頑張(がんば)ってくれて、(たよ)りになる存在(そんざい)除雪車(じょせつしゃ)です。県内では6500台が活躍(かつやく)しています。今年、全国で初めて衛星を使った自動除雪車も登場しました。導入した国土交通省に除雪車の進化について聞きました。

衛星使い自動化 ベテラン並み正確さ

 除雪車のオペレーターは車を運転しながら除雪装置(そうち)操作(そうさ)しなければならず、経験が必要です。ところがオペレーターの高齢化(こうれいか)が進み、世代交代が課題になっています。そこで国道除雪を担当(たんとう)する国土交通省北陸地方整備局は除雪操作の自動化を進めています。

 改良したのは、除雪トラックにある「フロントプラウ」「グレーダー装置」「サイドシャッター」です=下のイラスト(クリックすると別ウインドウで開きます)
 通路など道路の切れ目に来ると自動で雪をかかえこみ、通り過ぎてから雪をはき出します。道路(はば)が広がるとグレーダーを()ばします。交差点では雪を多く()せるよう、フロントプラウを角度調整します。

 サイドシャッターの上げ下げは、20キロの距離(きょり)の除雪で100回ほどにもなるので、オペレーターの負担(ふたん)はかなり減ります。まるで車が道を知っているかのようです。

 秘密(ひみつ)は衛星「みちびき」からの位置情報と、地図データの活用です。実際の道とのズレは10センチ前後という正確さです。

 整備局の施工(せこう)企画(きかく)課長(かちょう)補佐(ほさ)渡辺(わたなべ)俊彦(としひこ)さん(51)は「若手(わかて)でもベテラン()みに操作(そうさ)できるようにしたい」と自動化の目的を話します。技術革新(かくしん)が、雪国新潟の除雪を支えています。

道路除雪の流れ 道に応じて役割分担

 国道除雪では、さまざまな除雪車が得意分野で活躍しています。

 積雪や気温は「気象観測センサー」が24時間チェックしています=イラスト(1)=。データは新潟市と長岡市、上越(じょうえつ)市の「道路情報管理室」に集まります=(2)=。「雪の量や(こお)りそうかを見て、除雪する業者に出動をお願いしたり、市民に注意をよびかけたりします」と北陸地方整備局の道路(どうろ)構造(こうぞう)保全官(ほぜんかん)(たに)俊秀(としひで)さん(48)は説明します。

 積雪5~10センチを目安に除雪車が出動します。スピードが速く、バイパスなどで活躍するのは「除雪トラック」です。力のある「除雪グレーダー」は車体中央の排雪板(はいせつばん)に重みをかけ、(かた)い雪をはがします。広い車道では2、3台が(なら)び、道路中央から(はし)へと雪を送ります=(3)=

 道路端にたまった雪=(4)=は「ロータリー除雪車」が飛ばし、小回りの利く「除雪ドーザー」が雪壁(ゆきかべ)(けず)り車道を広げます=(5)=。歩道は「小型ロータリー除雪車」が活躍=(6)=。人がおすタイプもあります。
道路除雪の流れ(クリックすると別ウインドウで開きます)