2020.12.4
, EurekAlert より:
赤肉(哺乳類の肉)を大豆その他の豆類、ナッツ類に置き換えると冠動脈心疾患リスクがやや低下するという。また、赤肉を全粒穀物や乳製品に、加工肉を卵に置き換えることでも同様の効果が期待できそうだとのこと。米・ハーバード大学の研究。
数々の研究から、赤肉、とくにベーコンやホットドック、ソーセージ、サラミなどの加工肉の摂取量の多さが死亡リスクや冠動脈心疾患などの主要な慢性疾患リスクを高めることが示唆されている。
しかし、これに反する研究例も存在する。結果の整合性が取れていない理由として、赤肉と同等のたんぱく源・エネルギー源との充分な比較ができていないことなどが考えられる。このような、研究デザインと分析の問題に対処するため、本研究では赤肉の総摂取量・加工肉と非加工肉の摂取量と冠状動脈心疾患のリスクの関係、そして赤肉を他のたんぱく源に置き換えた場合の冠状動脈心疾患リスクへの影響について調べることにした。
調査データは米国の医療従事者を対象として1986-2016年の30年間追跡した研究から得ることとした。対象者は研究開始時に心血管疾患やがんに罹っていない男性43,272人、平均年齢は53歳であった。
追跡期間中に4,456件の冠状動脈心疾患イベントがあり、うち1,860が致命的なものだった。他の心血管リスク因子を考慮に入れた場合、赤肉の摂取量が1日あたり1サービング増えるごとに冠状動脈心疾患リスクは12%増加していた。同様の関連は非加工肉(リスク11%増)、加工肉(リスク15%増)でもみられた。
赤肉ではこのようにリスクが上昇したのに対し、植物性たんぱく源では冠状動脈心疾患リスクの低下がみられた。具体的には、ナッツ・大豆・その他の豆類(いんげん豆やレンズ豆など)を1日あたり計1サービング摂ることでリスクは14%減となった。この傾向は65歳以上でも同様だった。
赤肉を全粒穀物や乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)に置き換えた場合、また加工肉を卵に置き換えた場合にも冠状動脈心疾患リスクは低下したが、とくに若い男性ではこの傾向が強くみられ、赤肉を卵に置き換えた場合はリスク20%減となった。
一方で、赤肉を魚に置き換えても冠状動脈心疾患リスクは低下しなかった。この理由について研究者は、調理法(油で揚げるなど)を考慮しなかったことや、魚を詳細に分類せず、魚も、魚の加工品も同じグループに計上してしまっていることが考えられるとしている。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』。 (論文要旨)
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